歳をとるほど花は開く2022年07月18日 18時51分

 起伏の乏しい生活に変化が起きそうな気配がする。
 先日、ライターの在宅ワークに応募したが、あえなく落選してしまい、再チャレンジしようと決めた。そこで、だれでも登録できて、仕事の案件が多いことでも知られている二つの会社にライターの登録をした。
 単価の安い仕事が多いという評判は承知の上。でも、みながみな、そうではあるまい。何事もやってみなければわからない。
 さっそく翌日から「あなたにおすすめの本日の仕事」、「あなたにマッチする新しい仕事」というメールが両社から届いた。今日は朝の10時から12時半までに5件も送ってきた。依頼金額1円からの仕事がいくつもある。仕事以外のメールも来る。
 へえーっ、世の中はこんなに騒がしいのか、こんなところで稼いでいるのかと驚いた。ネット上のビジネスも、リアルの社会と同様に百花繚乱というべきか、玉石混交というべきか。ともあれ、いままでのぼくは、ぽつんとカヤの外にいたわけだ。
 おすすめの仕事を一つひとつ見るだけで時間がかかる。どこの会社が信頼できるのか、相手のことがさっぱりわからない。
 カネを払ってくれないとか、サギに遭った、という書き込みもある。疑い出したら切りがない。これまた現実社会となんら変わらない。やれやれ、何ごとも明あれば、陰ありだ。
 この業界は大手だけではない、従業員がたった3人という会社もある。こういうところはトップも社員たちもみな若い。20代の彼らからすれば、ぼくはまるで祖父の世代のようなもの。そんな年寄りに、いまどきの感覚はわかりっこないとおもうだろうな。
 自分だって、若いころに立場を置き換えると、そうおもうのがふつうである。大昔からある世代ギャップというやつだ。さきに落選したことも、妙に合点がいった。
 まぁ、それでもやらせてもらおうかな、これならできそうだな、という仕事もある。ただ、その仕事に手を上げている人の自己PRをみると、それはもう自信満々で、こちらは弾(はじ)き飛ばされそうな勢いだ。条件のいい案件には、全国規模のスケールで競争が渦巻いているらしい。(こんなことを書くと、そこで体当たりして稼いでいる若い人や主婦たちに笑われるだろうなぁ)
 ただ今朝がた、ちょっといい話を聞いた。NHKの番組で、ベテラン俳優の中原丈雄さんが故郷の熊本県人吉市に帰って、市内を流れる球磨川をみながら、こんなことを言ったのだ。
「歳をとるほど花は開くんですね」
 彼は、ぼくより1歳年下の1951年生まれ。詳しい内容は省くが、この言葉は苦労して、年齢を重ねてきたからこそ、言えるセリフだとおもう。
 およそ40年前、ぼくが東京から何の縁もゆかりもない福岡市に移転して、それまで描いていた将来の思惑が外れ、前がみえなくなっていたときがあった。さぁ、これからというときに記者を辞めたことを後悔した。
 ちょうどそのころのこと、お世話になった先輩記者のTさんが送ってくださった年賀状に一筆、こう書いてあった。
「人生、今が花だとおもってください」
 このひと言で、ぼくは救われた。立ち直ったと言ってもいい。
 そして、今朝。うーん、年齢の壁かなぁ、と思いふけっていたところに、中原さんの「歳をとるほど花は開くんですね」に出会ったのだ。
 これは、はたして偶然だろうか。

■わが家のベランダにも花が咲いている。セイロン ライティアの可憐な白い花、紫に白のラインがあざやかな花はサフィニア アート。なかなか花の名前を覚えられない。

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