背筋が涼しくなる、日本の夏2025年06月30日 18時20分

 パートの仕事は休みなのに、カミさんは早々と5時過ぎには起き出して、なにやらベランダでごそごそやっていた。ナンダ、ナンダ、こんなに朝はやくから。
「花壇に木酢液を撒いてくる。ダンゴ虫を退治するの。陽が昇ると暑くなるから、涼しいうちにやっておかないと」
 ときどき、こういうことに熱心になるんだよね、この人は。
 ダンゴ虫は花に悪さをする害虫ではないのだが、数が増えすぎるとやわらかい花芽に群がって食い荒らす。せっかく咲いた花はたちまちやられて、茎だけを残して立ち枯れてしまう。花壇にもその痕跡が少しずつひろがっている。
 もちろん、虫たちにも嫌いなものはあって、そのひとつが木酢液。そこでカミさんは木酢液を水で薄めて、花への水やりと一緒にダンゴ虫の退治もやってみようと思いたったわけ。
 でも、ぼくは知っている。以前やってみて、まったくといっていいほど効き目はなかったのだ。そのことは話しておいた。それでも本人はやらないと気がすまない勢いだったから、寝床のなかから、「行っておいで」と励ましの声をかけた。
 なんだかどうでもいいような内輪話をしているようだが、これでも男女の仲を含む生き物たちとの共生と地球環境問題の一端について触れているつもりである。
 カミさんが恐れていたように、この季節はずれの暑さはいったい何のサインなのか。
 梅雨明けは27日だった。6月に梅雨明けなんて、経験したことがない。
 去年の記録的な猛暑や集中豪雨、超大型の台風がまだ遠くの海上を接近中のときも、「これまで経験したことのない」とか、「過去にないほどの猛烈な」のフレーズが常套文句だった。「命を守ることを最優先してください」という切羽詰まった言葉も繰り返された。
 だが、異常がふつうになって、そのうち非常事態のあまりの多さにすっかり耳の方が慣らされてしまった。
 夏場の猛暑はますます酷くなるのだろう。異例なはやさの梅雨明けで、過去にない長期戦になるのはほとんど確定したようなものだ。
 すでに37度、38度はふつうの日本の夏になっている。40度超えもあった。ことしはその記録を最高気温でも、日数の長さでも更新するのだろうか。
 天候に左右される農家の人たちは心配しているだろうな。高温でも、洪水でも、壊滅的な状態を体験した人は大勢いるからな。大騒ぎしている米だけの問題じゃないよな。
 一説によれば、地球の寿命は50億年ともいう。この尺度でみれば、人類が自業自得の末に絶滅しようがすまいが、地球にとっては、「まばたきの瞬間すらない出来事」ということか。
 だんだん背筋が涼しくなってきた。

■写真は、カミさんがベランダで育てている花を挿し木で増やしているところ。こうしてお金を節約して、花壇に移植した花も多い。青紫色の花のトレニアは茎を水につけて、発根を促している。
 ところが先日、鳴りを潜めていた「花盗りばあさん」の犯行復活の目撃情報があった。
 木酢液では効果がない。5階の窓から目撃した友だちが「止めんね!」と声をかけたら、ばあさん、キョロキョロしていたという。効き目があればいいのだが。