東北大震災の津波と神社の関係 ― 2021年07月15日 16時44分

晩酌をやりながら、NHKの朝ドラの録画をカミさんと見ていると、主人公が「過去の大雨の被害を調べたら、一度も洪水の被害にあっていないところがある。それは神社です」というくだりがあった。
この連続ドラマの気象学に関する検証は、NHKでお馴染みの気象予報士がタッチしている。だから、このセリフには根拠があるんだろうなとおもった。
同じような話を聞いたことがある。
宗像大社のA宮司は環境問題に熱心で、あの東北大震災の大津波がどこまで陸地に達したかを調べた報告書を読んだことがあるそうだ。
それによると、押し寄せてきた津波の先端を地図の上に引いてみたら、その線のすぐ陸地側のあちこちに古い神社があるという。昔からある神社は津波にやられていないと言うのだ。
土地の守り神の神社が、なぜ、そういう場所を選んで建てられたのか。それは先人たちが海から身を守るためのメッセージではないのかというのが、Aさんの解釈だった。
彼は代々宮司の家系だから、神社は自然災害から地域の人々を守る役割も担っているという論法は、身びいきな見解だと、とれなくもないが、ぼくは三陸海岸周辺の神社と津波にはそんな関係性があったのかと目を開かされる思いがした。
そういえば、東京電力の福島原子力発電所についても、土地の津波の歴史を調べた専門家が、過去において原発の建物の高さを越える大津波があった、だから、それを基準にして安全対策を講じるべきだと警告したにもかかわらず、東電の幹部たちはこの正鵠(せいこく)を射た意見を採り入れなかったことが明らかになっている。
その土地には、その土地に刻まれた歴史や文化がある。外からやってきて、俺たちのやることに余計な口出しはしないでくれといわんばかりの人に、何が見えているというのだろうか。
話は代わるが、父が鹿児島の旧古江線の新設工事にたずさわっていた当時、いくつものトンネルをつくった。そのために、いくつもの山をけずった。墓地があったところも線路にした。
工事用の蒸気機関車に乗って、その現場について行ったとき、ぼくは粗末な木箱の中や地べたの上に、茶色になった頭蓋骨が何十個も並べられているのを目にしたことがある。墓石もごろごろ転がっていた。うす気味のわるい光景だったが、なんでこんなことをするのだろう、かわいそうじゃないかとおもった。
それからひと月ほどして、父は不思議な話をした。
掘り返された墓からは人骨のほかに、金や銀を含んだ古い貨幣や装飾品がたくさん出てきたという。その金や銀を争うようにして懐に入れた人夫たちがいて、その後、みな気がふれてしまったり、大けがをしたというのだ。内容は忘れてしまったが、「そのお墓に入っていた人はねぇ……」と持ち主の家の由来も聞かせてくれた。
墓の下から出た財宝を失敬したら、罰が当たったなんて、どこかで聞いたようなつくり話をするねぇと、いまでは鼻先で笑われるかもしれないが……。
では、もうひとつ。
ぼくは元建設省の地方機関が発行していた広報誌の編集委員をしていたことがあって、そのとき九州自動車道の建設工事にかかわっていたという職員から、こんな話を聞いた。
「××の先にあるカーブを走るときは、気をつけた方がいいですよ。あそこはよく事故が起きることで有名です。もとは墓地だったんですよ。事故が起きるところはだいたいそうですね、そういう場所はあちこちにありますよ」
聞いて、びっくりした。しかし、すぐにそんなことってあるんだろうなぁ、とおもった。
朝ドラで、ふと耳にしたセリフから、話があちこち飛んでしまい、神社から墓の話になってしまったが、昔から地元で大切にされてきた場所や言い伝えは、知っておいた方がよさそうである。
■いつの間にか、近くにあるどんぐりの実が大きくなっていた。イチゴと同じように、一番果が飛びぬけて大きい。
この連続ドラマの気象学に関する検証は、NHKでお馴染みの気象予報士がタッチしている。だから、このセリフには根拠があるんだろうなとおもった。
同じような話を聞いたことがある。
宗像大社のA宮司は環境問題に熱心で、あの東北大震災の大津波がどこまで陸地に達したかを調べた報告書を読んだことがあるそうだ。
それによると、押し寄せてきた津波の先端を地図の上に引いてみたら、その線のすぐ陸地側のあちこちに古い神社があるという。昔からある神社は津波にやられていないと言うのだ。
土地の守り神の神社が、なぜ、そういう場所を選んで建てられたのか。それは先人たちが海から身を守るためのメッセージではないのかというのが、Aさんの解釈だった。
彼は代々宮司の家系だから、神社は自然災害から地域の人々を守る役割も担っているという論法は、身びいきな見解だと、とれなくもないが、ぼくは三陸海岸周辺の神社と津波にはそんな関係性があったのかと目を開かされる思いがした。
そういえば、東京電力の福島原子力発電所についても、土地の津波の歴史を調べた専門家が、過去において原発の建物の高さを越える大津波があった、だから、それを基準にして安全対策を講じるべきだと警告したにもかかわらず、東電の幹部たちはこの正鵠(せいこく)を射た意見を採り入れなかったことが明らかになっている。
その土地には、その土地に刻まれた歴史や文化がある。外からやってきて、俺たちのやることに余計な口出しはしないでくれといわんばかりの人に、何が見えているというのだろうか。
話は代わるが、父が鹿児島の旧古江線の新設工事にたずさわっていた当時、いくつものトンネルをつくった。そのために、いくつもの山をけずった。墓地があったところも線路にした。
工事用の蒸気機関車に乗って、その現場について行ったとき、ぼくは粗末な木箱の中や地べたの上に、茶色になった頭蓋骨が何十個も並べられているのを目にしたことがある。墓石もごろごろ転がっていた。うす気味のわるい光景だったが、なんでこんなことをするのだろう、かわいそうじゃないかとおもった。
それからひと月ほどして、父は不思議な話をした。
掘り返された墓からは人骨のほかに、金や銀を含んだ古い貨幣や装飾品がたくさん出てきたという。その金や銀を争うようにして懐に入れた人夫たちがいて、その後、みな気がふれてしまったり、大けがをしたというのだ。内容は忘れてしまったが、「そのお墓に入っていた人はねぇ……」と持ち主の家の由来も聞かせてくれた。
墓の下から出た財宝を失敬したら、罰が当たったなんて、どこかで聞いたようなつくり話をするねぇと、いまでは鼻先で笑われるかもしれないが……。
では、もうひとつ。
ぼくは元建設省の地方機関が発行していた広報誌の編集委員をしていたことがあって、そのとき九州自動車道の建設工事にかかわっていたという職員から、こんな話を聞いた。
「××の先にあるカーブを走るときは、気をつけた方がいいですよ。あそこはよく事故が起きることで有名です。もとは墓地だったんですよ。事故が起きるところはだいたいそうですね、そういう場所はあちこちにありますよ」
聞いて、びっくりした。しかし、すぐにそんなことってあるんだろうなぁ、とおもった。
朝ドラで、ふと耳にしたセリフから、話があちこち飛んでしまい、神社から墓の話になってしまったが、昔から地元で大切にされてきた場所や言い伝えは、知っておいた方がよさそうである。
■いつの間にか、近くにあるどんぐりの実が大きくなっていた。イチゴと同じように、一番果が飛びぬけて大きい。
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