消えた、「民族大移動」 ― 2025年08月13日 23時06分

お盆休みの景色が変わった。
歩いて行けるところに食品スーパーが5店舗ある。そこで感じたことなので、きわめて狭い範囲での印象だとおもわれるかもしれない。だが、ぼくは毎日、これらのどこかの店に買い物に行っているから、長期的な「定点観測」の報告と言ってもいいだろう。
きょうは13日、お盆の入り。朝の11時前、このあたりでは新鮮な魚の品ぞろえで知られているスーパーに行った。ちょうど店が混雑する時間帯である。ところが駐車場は空いていた。店内もがらんとしている。
魚売り場には、帰省した人たちをもてなす家庭をターゲットにした寿司や刺身の大皿がいくつも並んでいる。値段は平常の3割増しほどか。
だが、それらに手を伸ばす人はいない。焼肉やバイキングの大盛りセットが目立つ精肉のコーナーも、オードブルの皿が威張っている惣菜コーナーも似たような売れ行きだった。レジにも客の列はできていない。いつもの週末よりもさびしい景色である。
「お盆の魚売り場は客でごった返していて、近づけないぐらいだったのになぁ。帰省する人が減ったのかな。人が集まって、にぎやかになる家庭が少なくなったんだろうな」
カミさんは別の見方をしていた。
「お盆はなんでも値段が高くなるから、買わないわよ。2、3日、我慢すればいいんだもの」
「そうだよな、なにもかも値上がりしているし、だんだんそうなるよな。でも、なんかお盆らしくないよなぁ」
この傾向はいまに始まったことではないが、ひところの正月とお盆休みの時期は、道路も新幹線や在来線の特急も、飛行機からフェリーまで、たいへんな帰省ラッシュで、「民族大移動」と言われたものだ。
そうだった、「民族大移動」という言葉があった。若い人が聞いたら、どこの国の話なのかと、びっくり仰天するかもしれない。別の角度から見れば、それだけ元気に動きまわる人の数が少なくなった、そういうことだろう。
帰宅して、夫婦でこんな昔話をしていたら、わが家も同じようなことになった。
「たまには一緒に晩飯を食うか」と声をかけていたふたりの息子は、どちらも「行けなくなった」という連れない返事。
覚悟はしていたけれど、現実を突きつけられて、少しばかり落ち込んだ。
まぁ、仕事の都合だからな、仕方がないか。ふたりとも車で10分ぐらいのところにいるのだから、いつでも来れるし、元気で近くにいるだけでも、「よし」としよう。
これも意識の深いところでつながっているのだろうか、ふと記憶の底から、河島英五の『野風増』の歌声が聞こえてきた。
♪ お前が20歳(はたち)になったら、
酒場でふたりで飲みたいものだ
・・・・・・
いいか 男は生意気ぐらいがちょうどいい
いいか 男はおおきな夢を持て
野風増 野風増 男は夢を持て
いい歌だなぁ。息子たちはとっくに20歳を過ぎているけれど、そんなことはどうでもいい。
こんな歌を大声で歌いたいときもある。
■大雨が通りすぎて、また暑い夏が戻ってきた。散歩の途中、塀の上で居眠りしていたネコと目があった。眠くてたまらない顔をしていた。
夜の9時過ぎ。仕事を終えた長男がふらりとやってきた。しばらくいて、「また来るからね」と帰って行った。
歩いて行けるところに食品スーパーが5店舗ある。そこで感じたことなので、きわめて狭い範囲での印象だとおもわれるかもしれない。だが、ぼくは毎日、これらのどこかの店に買い物に行っているから、長期的な「定点観測」の報告と言ってもいいだろう。
きょうは13日、お盆の入り。朝の11時前、このあたりでは新鮮な魚の品ぞろえで知られているスーパーに行った。ちょうど店が混雑する時間帯である。ところが駐車場は空いていた。店内もがらんとしている。
魚売り場には、帰省した人たちをもてなす家庭をターゲットにした寿司や刺身の大皿がいくつも並んでいる。値段は平常の3割増しほどか。
だが、それらに手を伸ばす人はいない。焼肉やバイキングの大盛りセットが目立つ精肉のコーナーも、オードブルの皿が威張っている惣菜コーナーも似たような売れ行きだった。レジにも客の列はできていない。いつもの週末よりもさびしい景色である。
「お盆の魚売り場は客でごった返していて、近づけないぐらいだったのになぁ。帰省する人が減ったのかな。人が集まって、にぎやかになる家庭が少なくなったんだろうな」
カミさんは別の見方をしていた。
「お盆はなんでも値段が高くなるから、買わないわよ。2、3日、我慢すればいいんだもの」
「そうだよな、なにもかも値上がりしているし、だんだんそうなるよな。でも、なんかお盆らしくないよなぁ」
この傾向はいまに始まったことではないが、ひところの正月とお盆休みの時期は、道路も新幹線や在来線の特急も、飛行機からフェリーまで、たいへんな帰省ラッシュで、「民族大移動」と言われたものだ。
そうだった、「民族大移動」という言葉があった。若い人が聞いたら、どこの国の話なのかと、びっくり仰天するかもしれない。別の角度から見れば、それだけ元気に動きまわる人の数が少なくなった、そういうことだろう。
帰宅して、夫婦でこんな昔話をしていたら、わが家も同じようなことになった。
「たまには一緒に晩飯を食うか」と声をかけていたふたりの息子は、どちらも「行けなくなった」という連れない返事。
覚悟はしていたけれど、現実を突きつけられて、少しばかり落ち込んだ。
まぁ、仕事の都合だからな、仕方がないか。ふたりとも車で10分ぐらいのところにいるのだから、いつでも来れるし、元気で近くにいるだけでも、「よし」としよう。
これも意識の深いところでつながっているのだろうか、ふと記憶の底から、河島英五の『野風増』の歌声が聞こえてきた。
♪ お前が20歳(はたち)になったら、
酒場でふたりで飲みたいものだ
・・・・・・
いいか 男は生意気ぐらいがちょうどいい
いいか 男はおおきな夢を持て
野風増 野風増 男は夢を持て
いい歌だなぁ。息子たちはとっくに20歳を過ぎているけれど、そんなことはどうでもいい。
こんな歌を大声で歌いたいときもある。
■大雨が通りすぎて、また暑い夏が戻ってきた。散歩の途中、塀の上で居眠りしていたネコと目があった。眠くてたまらない顔をしていた。
夜の9時過ぎ。仕事を終えた長男がふらりとやってきた。しばらくいて、「また来るからね」と帰って行った。
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