青春からの仲間たち2025年04月07日 18時07分

 昨日も花見をした。予定外のことだった。連れは高校時代の友人ふたりである。
 前日の夜8時すぎ、1通のLINEが着信。小倉にいる「西高3人組」のひとりH君からだった。
「平日は自由な時間が取れなく、河畔公園で一緒に花見がしたいので、明日の昼前ごろにそちらに行ってもよいですか?」
 断れるわけがない。この短い文だけで、もっと言いたいことは充分に読みとれる。
 この日のブログを読んでくれたのだ。彼はここまで一度も来たことがない。高速バスや地下鉄を乗り継いで、待ち時間なしでも往復4時間はかかる。
 さっそく同意の電話をした。
 そうなるともうひとり声をかけたい友がいる。
 毎年一緒に花見をしているS君で、つい先日、花見の件を持ち出されて、やんわりお断りしたばかり。彼もブログで、ぼくの状況をときどきチェックしている。
 するとその翌日、「お酒は飲めなくても、桜の下でお茶とお菓子ぐらいはと思って」という誘いが来た。気持ちはうれしかったけれど、「またの機会に」と辞退したいきさつがあった。
 同じ高校の仲間とはいえ、H君とS君が顔を合わせるのは卒業以来のこと。ふたりは実に半世紀ぶりの再会になるという。お互いの性格も、歩いてきた道もそれぞれ違っても、どちらも大切な友である。H君から連絡があったことを、S君に知らんふりできるわけがない。
 こうして70代半ばのかつての若者たちが満開の桜の下で一杯やることになったという次第。
 桜の花がちらほら舞い落ちるなかで、彼らはぼくの病気のことに触れようとはしなかった。こんな機会はめったにないから、お互いにしゃべりたいことがどんどん出てくる。ふたりで飲むよりも、やっぱり3人の方が何倍も話の花が咲いた。
 桜の花が一枚、二枚、酒を注いだ紙コップのなかに浮かんでいる。花びらごとクビッと飲み干す。桜も粋な演出をしてくれるものだ。
 友とはありがたいものである。久しぶりに大笑いしながら、彼らとも簡単にサヨナラできないな、とおもった。
 隣のテーブルで談笑していた「77歳の元クラスメート同士」という3人連れの「もと乙女たち」にも声をかけた。きれいな銀色の髪のショートカットがよく似合う、笑顔のチャーミングな女性は、「わたしの主人は亡くなってね、あちらにいるの」。
 そういいながら、桜の花から透けてみえる青い空に向かって、ひらひらと手を振ってみせた。H君はそのかわいい人にお願いして、ぼくたちの集合写真を撮ってもらった。
 別れる間際になって、ふたりから「がんばれよ。また会おうや」とひと言があった。

 あさって入院します

 きょうは外科医の診察の日。明後日の入院が決まった。期間は5日間。ようやく待ちに待った化学療法がはじまる。