初孫の「お食い初め」 ― 2024年05月01日 18時44分

先の日曜日の正午過ぎ、息子夫婦が借りているマンションで、生後3か月半になる初孫のK君の「お食い初め」があった。恥ずかしながら、そんな祝いごとの儀式があるなんてまったく知らなかった。
「なに? おくいぞめ? 変な言葉だな。なんじゃ、それ?」
もしかしたら、ぼくもやってもらったかもしれないけれど、亡くなった両親から「お食い初め」の思い出話を聞いた記憶もないし、その証拠写真もない。
ただ、地域によっては「百日祝い」と呼ばれると知って、それなら思い当たるような気もした。カミさんの記憶も似たり寄ったりで、当然、こんな両親のもとに生まれたわが家のふたりの息子は、「お食い初め」の履歴なし、である。
ともあれ、長男のお嫁さんが育った家庭では、この儀式をちゃんと受け継いでいるということだ。
えらいなぁ、うちとはちがうなぁ。
このぶんでは、これから先もK君の成長にあわせて、「なんじゃ、それ?」の儀式がいろいろ出てくるかもしれない。カミさんも同じ予感がするようで、「次は餅踏みかな」と言っていた。
ベビー服やお菓子などの手土産を提げて、車で向かう。ほんの10分足らずで到着。真新しいマットの上であおむけになって、おとなしくしているK君のところに歩み寄る。
ちょっと見ないあいだにおおきくなった。顔をちかづけて、「Kちゃん」と声をかけた。
いい顔をしている。こわがっているふうでもない。じっと見つめ返して数秒後、ニコッと笑った。
こういう子である。代わる代わるに抱っこしても嫌がらない。
「お食い初め」の赤ちゃんに食べさせるのは、ジイサンの役目だという。
息子に抱かれたK君のちいさな口元に、その場で教えてもらった作法どおりに、箸でごはんや塩焼きの鯛の白身などをつまんでは、そうっとゆっくり運ぶ。食べさせる恰好だけで、口の中には入れてはいけない。ごはんも鯛も見せるだけ見せて、寸前のところでUターンである。
これでは「お食い初め」ではなくて、「お食いお預(あず)け」ではないか。
(Kちゃん、ごめんな。いじわるしているんじゃないからね)
まるで、ママゴトみたいだが、まわりにいるギャラリー(お嫁さんの母と弟、うちのカミさん)は、「かわいい」、「かわいいね」の連発だった。
ひとりだけいい役まわりをさせてもらっていたぼくは、K君の不思議そうな、たのしそうな顔をみながら、こんなこともあるんだな、よかったなとおもっていた。
ぼくたち夫婦の命を受け継いでいる、生まれてまもない人気者がここにいる。
この子とぼくの年の差は73。
ガンに負けなくてよかった。
元気でおおきくなれよ。いつかお父さんも一緒に酒を飲めたらいいな。
■このブログを書いていたら、日本酒を冷で一杯やりたくなった。
写真は、2月末に新潟から遊びに来た姪が義理の姉からことづかって、持ってきてくれた南魚沼市塩沢の地酒『鶴齢』の純米大吟醸。ラベルには豪雪地帯の雪室で貯蔵した書いてある。
K君にもカミさんの血が流れているから、きっと新潟の酒が好きになるだろう。
さてと、今夜こそ封を切るか。
「なに? おくいぞめ? 変な言葉だな。なんじゃ、それ?」
もしかしたら、ぼくもやってもらったかもしれないけれど、亡くなった両親から「お食い初め」の思い出話を聞いた記憶もないし、その証拠写真もない。
ただ、地域によっては「百日祝い」と呼ばれると知って、それなら思い当たるような気もした。カミさんの記憶も似たり寄ったりで、当然、こんな両親のもとに生まれたわが家のふたりの息子は、「お食い初め」の履歴なし、である。
ともあれ、長男のお嫁さんが育った家庭では、この儀式をちゃんと受け継いでいるということだ。
えらいなぁ、うちとはちがうなぁ。
このぶんでは、これから先もK君の成長にあわせて、「なんじゃ、それ?」の儀式がいろいろ出てくるかもしれない。カミさんも同じ予感がするようで、「次は餅踏みかな」と言っていた。
ベビー服やお菓子などの手土産を提げて、車で向かう。ほんの10分足らずで到着。真新しいマットの上であおむけになって、おとなしくしているK君のところに歩み寄る。
ちょっと見ないあいだにおおきくなった。顔をちかづけて、「Kちゃん」と声をかけた。
いい顔をしている。こわがっているふうでもない。じっと見つめ返して数秒後、ニコッと笑った。
こういう子である。代わる代わるに抱っこしても嫌がらない。
「お食い初め」の赤ちゃんに食べさせるのは、ジイサンの役目だという。
息子に抱かれたK君のちいさな口元に、その場で教えてもらった作法どおりに、箸でごはんや塩焼きの鯛の白身などをつまんでは、そうっとゆっくり運ぶ。食べさせる恰好だけで、口の中には入れてはいけない。ごはんも鯛も見せるだけ見せて、寸前のところでUターンである。
これでは「お食い初め」ではなくて、「お食いお預(あず)け」ではないか。
(Kちゃん、ごめんな。いじわるしているんじゃないからね)
まるで、ママゴトみたいだが、まわりにいるギャラリー(お嫁さんの母と弟、うちのカミさん)は、「かわいい」、「かわいいね」の連発だった。
ひとりだけいい役まわりをさせてもらっていたぼくは、K君の不思議そうな、たのしそうな顔をみながら、こんなこともあるんだな、よかったなとおもっていた。
ぼくたち夫婦の命を受け継いでいる、生まれてまもない人気者がここにいる。
この子とぼくの年の差は73。
ガンに負けなくてよかった。
元気でおおきくなれよ。いつかお父さんも一緒に酒を飲めたらいいな。
■このブログを書いていたら、日本酒を冷で一杯やりたくなった。
写真は、2月末に新潟から遊びに来た姪が義理の姉からことづかって、持ってきてくれた南魚沼市塩沢の地酒『鶴齢』の純米大吟醸。ラベルには豪雪地帯の雪室で貯蔵した書いてある。
K君にもカミさんの血が流れているから、きっと新潟の酒が好きになるだろう。
さてと、今夜こそ封を切るか。
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