豪雪地帯の暮らしをおもう ― 2025年01月16日 19時14分

午後3時の気温は5度。薄墨色の雲がゆっくり動いている。いつものようにスマホで新潟の南魚沼市の天候をチェックした。また雪だ。気温は3度で、なだれ注意報が出ている。
福岡市とはたった2度の差しかない。だが、雪国の人たちの苦労や春を待ち焦がれる気持ちはその程度の違いどころではない。はげしく降り続く雪の量をぜんぶ雨に変えたら、どんな水害が起きるか、想像すらつかない。
カミさんの実家のまわりは海抜2,000メートル前後の魚沼連峰がそびえ、日本海からの風をさえぎる巨大な壁になっている。そこは日本有数の豪雪地帯である。ことしは例年になく大雪の日が多いので、いくら雪に慣れているとはいえ、土地の人たちは重くどんよりとした空から舞い降りてくる白い水の結晶を見ながら、うんざりしていることだろう。
ある冬の日、九州生まれのぼくは見渡すかぎりの真っ白な世界に感嘆の声をあげたが、カミさんの親兄妹から雪との闘いの話を聞いて、軽々しくよろこべなくなった。
雪下ろしをしないと家は押しつぶれてしまう。亡くなった義父が福岡に来たとき、建築中の戸建ての柱をみて、「九州はこんなに細い柱で大丈夫なのか」とびっくりしていた。
義母は小学生の冬に病気になって、歩くのもたいへんな大雪のなか、町の医者まで往復20キロほどの道のりをおんぶして連れて行ってくれた父親の背中の温かさが忘れられないと言っていた。子どものころのカミさんは雪に閉じ込められて、2階の窓から出入りしていたという。
家のなかは一日中、照明と暖房をつけっぱなし。家族や部屋の数が多い家では暖房費がたいへんな負担になる。現地の親戚から「ことしは灯油代が月々8万円かかる」と聞いて、稼ぎ手がひとりの家庭ではとてもやっていけないとおもった。
越後の人は忍耐強くて、働き者が多い。カミさんやその一族の人たちを見てきて、まったくその通りだとおもう。
彼女は今朝も仕事に行った。新しい職場は人がまばらで、声をかけてくれる人も、一緒にお昼の弁当を食べる人もいないという。そのうち少しは打ち解ける人も現れるだろうが、なんだか雪のなかへ送り出しているような気持ちになる。
■写真の大根は、「ただ天日に干しただけのものを薄く切って食べたい」というカミさんの要望を受けて、ベランダに1本だけ吊るしたもの。
福岡市とはたった2度の差しかない。だが、雪国の人たちの苦労や春を待ち焦がれる気持ちはその程度の違いどころではない。はげしく降り続く雪の量をぜんぶ雨に変えたら、どんな水害が起きるか、想像すらつかない。
カミさんの実家のまわりは海抜2,000メートル前後の魚沼連峰がそびえ、日本海からの風をさえぎる巨大な壁になっている。そこは日本有数の豪雪地帯である。ことしは例年になく大雪の日が多いので、いくら雪に慣れているとはいえ、土地の人たちは重くどんよりとした空から舞い降りてくる白い水の結晶を見ながら、うんざりしていることだろう。
ある冬の日、九州生まれのぼくは見渡すかぎりの真っ白な世界に感嘆の声をあげたが、カミさんの親兄妹から雪との闘いの話を聞いて、軽々しくよろこべなくなった。
雪下ろしをしないと家は押しつぶれてしまう。亡くなった義父が福岡に来たとき、建築中の戸建ての柱をみて、「九州はこんなに細い柱で大丈夫なのか」とびっくりしていた。
義母は小学生の冬に病気になって、歩くのもたいへんな大雪のなか、町の医者まで往復20キロほどの道のりをおんぶして連れて行ってくれた父親の背中の温かさが忘れられないと言っていた。子どものころのカミさんは雪に閉じ込められて、2階の窓から出入りしていたという。
家のなかは一日中、照明と暖房をつけっぱなし。家族や部屋の数が多い家では暖房費がたいへんな負担になる。現地の親戚から「ことしは灯油代が月々8万円かかる」と聞いて、稼ぎ手がひとりの家庭ではとてもやっていけないとおもった。
越後の人は忍耐強くて、働き者が多い。カミさんやその一族の人たちを見てきて、まったくその通りだとおもう。
彼女は今朝も仕事に行った。新しい職場は人がまばらで、声をかけてくれる人も、一緒にお昼の弁当を食べる人もいないという。そのうち少しは打ち解ける人も現れるだろうが、なんだか雪のなかへ送り出しているような気持ちになる。
■写真の大根は、「ただ天日に干しただけのものを薄く切って食べたい」というカミさんの要望を受けて、ベランダに1本だけ吊るしたもの。
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