カミさん、初出勤に寝坊する2025年06月02日 18時26分

「〇〇子、そろそろ起きた方がいいんじゃないか」
「うーん。エッ! 何時?」
「5時21分だよ」
「ワッ。やばい! 遅刻しちゃう!」
 きょうはカミさんがパートに行く初出勤の日。始業の時刻は朝6時で、勤め先からは、「少し早く来てください」と言われていた。
 時間がない。ガバッと立ち上がって、もう大慌てである。
 こちらも急いで冷凍していたパンを焼き、手製のヨーグルトとバナナ、蜂蜜、インスタントコーヒー、手持ち用のチョコレートを用意した。お腹に入れてくれたのは、パンをひとかじりとバナナ、コーヒーをひと口だけ。
「慌てなくてもいいよ。車で送るから」
 パート先がすぐ近くでよかった。歩いて6、7分の距離。車なら20秒で着く。5時40分に建物から少しはなれたところに到着。ゆうゆうセーフだった。
 福祉施設といっても老人施設ではない。障がいを持つ人たちの専用施設で、カミさんの役割は「生活支援員」。まったく経験のない分野である。
 ここを選んだ理由は、掃除の仕事、スーパーや調理補助の仕事などはみな希望する条件に合わず、とにかく歩いて行けて、なんとかやれるかもしれなくて、雇用センターを通して、69歳でも面接してくれたこと。
 この年齢の壁の解消がいちばんおおきかった。建物は新築できれいだし、面接で会った若い責任者の感じがよかったこともプラスに働いた。
 とにかく70歳近い高齢者が働く場所をみつけるのは容易ではない。(ひいき目ではないが、うちのカミさんはとてもそんな歳には見えない。まだ50代と思いこんでいた人もいる)
 勤務時間は6時から9時までの3時間。週に3、4日出勤の契約で、朝は早いが、以前勤めていたときも5時20分には起きていたから、無理をしないでやれそうだ。
 自分にはとてもできない仕事と思ったら、止めればいい。これはぼくたち夫婦の了解事項である。
 無事に送って、ほっとした。用意したパンなどの残り物で、ぼくの朝飯は終わり。帰って来るカミさんのために、みそ汁をつくった。これからはサポートしなければ。
 9時半近くに、カミさんは帰還。しばらく話を聞く。嫌な印象はなかったという。明日は休みで、ひと呼吸おけるのもよかった。これから何がはじまるか、たのしみができた。
 横浜の後輩君からは「母校・早稲田の散歩から仲間たちの昼飲み会」の写真がLINEで送られてきた。なかに学生時代に雇われマスターをやって、ひと暴れしたコーヒーと軽食、夜は洋酒も出していた店『ヤコブ』があった場所の写真も撮影されていた。
 新宿・中村屋のカリーライスとボルシチが売り物で、まわりの店の相場よりもかなり安い価格だった。ドリップコーヒー130円、カリーライス300円、ボルシチ350円。
 ぼくを息子のようにかわいがってくれたオヤジさん自身、ハナから学生相手に儲ける気はなかった。
 彼らもちょくちょくやって来た。いろんな個性派が立ち寄っていたから、大学とはひと味違った自由な空間は、後輩君たちにも思い出深い店だったのだろう。
 体調がよくなってきて、こうして書けることがたのしい。

■団地で、業者さんたちのいっせい草刈りが行われている。きれいになって、気持ちがいい。