麻生、安倍、菅の共通点?2021年07月03日 16時20分

 散歩の途中、木陰のベンチでひと休みしていたら、隣の話し声が耳に飛び込んできた。ぼくと同じぐらいの年恰好の男性が二人。口ぶりからして、どうやら昔の同級生か、そんな関係らしい。
「だって、あいつら頭よくないだろ」
「部下の話を聞こうとしないみたいだな。まっとうな意見を言って、飛ばされた人もいたからな」
「いままでの仕組みも強引に変更して、人事の権利もぜんぶ握ったじゃないか。もう、だれも逆らえないよ。恐ろしいことになったもんだ」
「でも、嫁さんや息子は特別扱いだろ。身内が汚いことをやっても、あいつら知らんぷりだからな」
「ぜんぜん責任をとらんしな」
「いつから、こんなおかしなことになったんだろうなぁ」
 よくある上司の悪口のようだが、たぶん二人はリタイアしているはず。それでもやはり、長年勤めた会社のことが気になるのだろうか。声の大きさがだんだんヒートアップしていく。退屈しのぎもあって、ぼくはそのまま腰かけていた。すると話はおもわぬ方向に走って行ったのである。
「あいつらよりも、部下たちの方が格段に頭はいいだろ?」
「そりゃあ、そうだ。東大とか京大とかの一流大学出がゴロゴロいるんだからな」
「俺、ちょっと調べてみたんだよ」
「何を?」
「まぁ、聞いてくれ。あいつらには共通点があるんだ。いいか、3人の出身大学を調べたらだな、麻生は学習院大学、安倍は成蹊大学、菅は法政大学だ」
「そうなのか。東大とかじゃないのか。なんか親しみがわくな」(笑い)
「こう言っちゃあ、悪いけど、私立でもよく名前が上がるような一流どころじゃないだろ。自民党からの総理大臣が3人立て続けにそうだぜ。こんなことって、初めてじゃないか」
 二人のやりとりを聞きながら、ぼくは政治の取材を始めたばかりの駆け出しのころ、将来を嘱望されていたのに、病気で急逝したM代議士の言葉をおもいだした。
「○○さん、あなたに政治を取材するときのポイントを教えてあげよう。政界はね、嫉妬(しっと)の世界です。政治家はものすごい嫉妬の動物なんですよ。これだけは覚えておいた方がいいよ」
 麻生、安倍は世襲議員の中でもサラブレッドのような存在である。いっぽうの菅は代議士秘書から市議を経てのたたき上げ。「なんであんなやつが、俺よりも」という嫉妬の感情は、この3人の胸の中にも、彼らに反発する側にも激しく渦巻いていたことだろう。その感情はいまも根深いところでうごめいているのだろうが。
「永田町には頭の切れる官僚や一流大卒の国会議員がうようよいるからなぁ。そうでない麻生、安倍、菅は内心複雑だろうな。プライドはひと一倍、高そうな感じだし」
「そこなんだよ、3人の共通点というのは。たぶん3人とも、お互いの気持ちがよくわかっているんじゃないかな。あいつら、よく似ているとおもわないか。コンビを組んで、お互いにかばいあっているだろ。3人ともボキャブラリーが貧困で、同じことしか言わん。都合の悪い質問にはまともに答えんしな」
「そういえば安倍は、総理の私が言うのだから間違いありません、なんて、ピント外れのことを言ってたな」(笑い)
 黙って耳を傾けながら、ぼくは話題の3人がこの話を聞いたら、どんな顔をするだろうかとおもった。
 ベンチの二人はどこにでもいるような、ごくふつうの高齢者である。すっかり言葉の信用をなくした政治家たちに、言いたいことは山のようにあるのだろう。
「でもな、東大卒だって、おかしな政治家はいいるぜ」
「そうだよな。まったく、どうしようもないな。あーあ、後藤田(正晴・元官房長官)みたいな人がいたらなぁ。官僚たちも生き生きと動いて、コロナ対策も、東京オリンピックも、判断よくピシピシやっただろうなぁ」
 学歴で人物を判断することには反対である。しかし、市井には、こんなよもやま話をする人もいる。政治家たる者、世間をバカにしてはいけない。(敬称略)

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