カミさんの髪を染める ― 2022年02月07日 10時36分

日曜日の午前中、カミさんの髪を染めた。もちろん、白髪染めである。
こう書くとなんだか「白髪ババア」のようで(実際、そうだが)、文字から受ける印象に鳥肌が立ちそうになる。
カミさんの髪染めは十年以上も前からやっている。いや、やらされている。二本のチューブからペースト状のものを絞り出して、丹念に混ぜあわせたものが染料で、それを髪全体につけるだけ。
簡単のようだが、さにあらず。額の髪の生え際にはうぶ毛のような白髪があって、こいつがなかなか言うことを聞かない。すぐピンと立って抵抗する。
耳の後ろもむずかしい。あの耳がなければどんなにやりやすいことか。耳と言えば、梶井基次郎の短編にこんな文章がある。
猫の耳というものはまことに可笑(おか)しなものである。薄べったくて、冷たくて、竹の子の皮のように、表には絨毛(じゅうもう)が生えていて、裏はピカピカしている。硬いような、柔らかいような、なんともいえない一種独特の物質である。私は子供のときから、猫の耳というと、一度「切符切り」でパチンとやって見たくて堪(たま)らなかった。これは残酷な空想だろうか?
むろん、カミさんは猫ではない。ときどき「痛い!」と言う。
それでも小玉スイカのような頭の髪の毛にまんべんなく染料をつけて、完成したときは、ひと仕事終えた気分になる。小一時間そのままにして、髪の毛を洗って、きれいなダークブラウンに仕上がっているとこちらも安心する。
これで風が吹いても、上から頭のてっぺんを見られても、当分の間は大丈夫。いくらか若返って見えるのもうれしい。できればずっとこのままの状態でいてくれればいいのだが。
外を歩いていると、頭頂部に季節外れの雪をかぶっているご婦人方をお見受けすることがままある。そこだけ白髪が出ている。やけに目立つ。残酷である。
あれはご本人のためにもよくない。見た目が悪い。ぼくが旦那だったら、染めてやるのにとおもったり、おもわなかったりする。
かつてカミさんは、ぼくの薄毛と白髪の増殖ぶりに危機感を覚えたのか、毛生え薬を買ってきたことがあった。それが労多くして功なしとわかって、今度は髪を染めてくれるようになった。だが、「お父さん、髪の毛が少なくなったね」という言葉からほどなくして、「もう染めなくて、白髪のままの方が自然でいいんじゃない」となってしまった。
そのうち「手入れをする髪がないから、面倒くさくなくていいね」と言われるのだろうか。
■「これでアビスパ福岡の応援に持って行くバッグを作って」。カミさんが要らなくなったアビスパ福岡の古い応援ユニフォームを新潟の姉に送ったら、数日して写真のバッグが届いた。
縦横が47、8センチの大判でたっぷり収納できる。ちゃんとアビスパのロゴやJリーグのマーク、城後久の背番号10もあしらってあるし、外ポケットも付いている。内側にはしゃれた裏地も。とても素人の手作りとはおもえない出来栄えである。姉はもう一人いて、3人はとても仲がいい。
アビスパ福岡の開幕戦は来週の19日(土)。そのころにはまた少し白髪が伸びているだろうな。やれやれ。
こう書くとなんだか「白髪ババア」のようで(実際、そうだが)、文字から受ける印象に鳥肌が立ちそうになる。
カミさんの髪染めは十年以上も前からやっている。いや、やらされている。二本のチューブからペースト状のものを絞り出して、丹念に混ぜあわせたものが染料で、それを髪全体につけるだけ。
簡単のようだが、さにあらず。額の髪の生え際にはうぶ毛のような白髪があって、こいつがなかなか言うことを聞かない。すぐピンと立って抵抗する。
耳の後ろもむずかしい。あの耳がなければどんなにやりやすいことか。耳と言えば、梶井基次郎の短編にこんな文章がある。
猫の耳というものはまことに可笑(おか)しなものである。薄べったくて、冷たくて、竹の子の皮のように、表には絨毛(じゅうもう)が生えていて、裏はピカピカしている。硬いような、柔らかいような、なんともいえない一種独特の物質である。私は子供のときから、猫の耳というと、一度「切符切り」でパチンとやって見たくて堪(たま)らなかった。これは残酷な空想だろうか?
むろん、カミさんは猫ではない。ときどき「痛い!」と言う。
それでも小玉スイカのような頭の髪の毛にまんべんなく染料をつけて、完成したときは、ひと仕事終えた気分になる。小一時間そのままにして、髪の毛を洗って、きれいなダークブラウンに仕上がっているとこちらも安心する。
これで風が吹いても、上から頭のてっぺんを見られても、当分の間は大丈夫。いくらか若返って見えるのもうれしい。できればずっとこのままの状態でいてくれればいいのだが。
外を歩いていると、頭頂部に季節外れの雪をかぶっているご婦人方をお見受けすることがままある。そこだけ白髪が出ている。やけに目立つ。残酷である。
あれはご本人のためにもよくない。見た目が悪い。ぼくが旦那だったら、染めてやるのにとおもったり、おもわなかったりする。
かつてカミさんは、ぼくの薄毛と白髪の増殖ぶりに危機感を覚えたのか、毛生え薬を買ってきたことがあった。それが労多くして功なしとわかって、今度は髪を染めてくれるようになった。だが、「お父さん、髪の毛が少なくなったね」という言葉からほどなくして、「もう染めなくて、白髪のままの方が自然でいいんじゃない」となってしまった。
そのうち「手入れをする髪がないから、面倒くさくなくていいね」と言われるのだろうか。
■「これでアビスパ福岡の応援に持って行くバッグを作って」。カミさんが要らなくなったアビスパ福岡の古い応援ユニフォームを新潟の姉に送ったら、数日して写真のバッグが届いた。
縦横が47、8センチの大判でたっぷり収納できる。ちゃんとアビスパのロゴやJリーグのマーク、城後久の背番号10もあしらってあるし、外ポケットも付いている。内側にはしゃれた裏地も。とても素人の手作りとはおもえない出来栄えである。姉はもう一人いて、3人はとても仲がいい。
アビスパ福岡の開幕戦は来週の19日(土)。そのころにはまた少し白髪が伸びているだろうな。やれやれ。
コメント
トラックバック
このエントリのトラックバックURL: http://ichi-yume.asablo.jp/blog/2022/02/07/9462002/tb
※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。
コメントをどうぞ
※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。
※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。