プーチンが墜ちる日2022年03月24日 14時41分

 ウクライナで起きている非道、悲惨な報道に接するたびに、プーチンよ、いい加減にしろ! とはげしい怒りがこみあげてくる。ロシアの指導者たちのなかに、あの男を殴りつけて、罪のない人々を大量殺戮している侵略戦争をいますぐ止めろ、という人物はいないのか。
 日本の歴史にも同じような時代があった。あんなことは二度とごめんである。
 ひところ流行った地政学という言葉を思い出す。昔からロシアは海洋に進出できる不凍港の確保が悲願だった。クリミアを武力で併合し、いまも黒海沿岸を力づくで自国の支配下に組み入れようとしているのは、まさに地政学の考え方そのものだ。
 これらの状況を見れば、北方領土の返還なんて、ロシアの指導者たちは爪の垢(あか)ほども考えていないことがよくわかる。スターリン時代の旧ソ連は日ソ不可侵条約を一方的に破棄して、日本の婦女子を凌辱し、日本が降伏した翌日には千島列島を攻撃して、北海道まで占領しようとした。
 終戦後にはあの酷寒の地の果てのシベリア抑留だ。日本軍の捕虜だけではなく、民間人まで、なんと約60万人もの人たちが「東京へ帰してやる」とウソを言われて連れ去られ、ろくな食事も与えられない強制労働の日々で、5万5千人を越える尊い命が無念の死に追い込まれた。
 国際法を紙切れのように破る大国が、国連の安全保障理事会の常任理事国におさまって、絶対不可侵の拒否権を持っていて、しかも、その当事国が真っ先に戦争をやるのだから、まことに世の中は不条理だらけである。まぁ、少数民族の弾圧や力まかせの領土拡張をやっている大国は、ロシアだけに限ったことではないが。
 ヨーロッパの政治家たちはこれまでの歴史の教訓から、ロシアに対して絶対に弱みを見せてはいけないことを知っている。自分よりも弱いと思った相手には嵩(かさ)にかかって攻めこんでくるのがロシアのやり方だ。そして、そのために陰謀を張りめぐらせるロシアの狡猾さも、ヨーロッパの指導者たちはよくわかっている。
 ずいぶん前に、ロシアやヨーロッパの対ロシア(ソ連)外交に関するいろんな本やレポートを読んで、そうなんだと勉強になったが、ウクライナを見ていると、やっぱりそのとおりだった。
 こんなことを書くと反発する人がいるかもしれない。断っておくが、ぼくが非難する対象は、自分の主張を権力で押しつけて、人々を不幸のどん底に突き落としても、顔色ひとつ変えない一部の特権的な指導者である。
 ロシアの人々を十把一絡げに否定する気持ちはさらさらない。そもそも彼らはこの侵略戦争の実態を知らされていないという。プーチンの方が正しいと信じ込んでいる人が大勢いる。独裁政権下の庶民はいつもそういう位置へとコントロールされる。かつての日本もそうだった。間違いを、間違いだと言ったら、抹殺が待っている社会ほど恐ろしいものはない。
 ロシア研究の第一人者・木村汎北海道大学名誉教授が亡くなったとき、ああ、これでロシアのことを教えてくれる人がいなくなった、まずいなぁ、とおもったものだ。彼はプーチンにすり寄っていた安倍晋三の対露外交にも、しっかりクギを刺していた。
 多くの国家で、先の凄惨な大戦を体験していない人が一国のリーダーになっていることを、ぼくはずっと前から憂えている。
 プーチンが生まれたのは1952年10月7日、習近平は1953年6月15日。ちなみに安倍は1954年9月21日。みんな戦後生まれで、一歳ずつ離れている。これも何かの符合だろうか。
 プーチンはソ連時代の共産党を支配していたノーメンクラトゥーラの特権階級上がりで、習近平の権力を支えている中国共産党の権力構造も同じようなものだ。どちらも民主主義の国家ではない。
 破壊されても、殺されても、ウクライナの人々はギブアップしない。プーチンに対して、弱みは絶対に見せない。でも、テレビで見ていて、気の毒でならない。
 プーチンは冷静さを失い、もはや狂っているとしか思えない。似たようなことは歴史上にいっぱいある。プーチンにも自滅のはじまりの匂いがする。ロシア国民の目にも、プーチンが国内向け流してきたニュースがとんでもない大ウソだったとわかる日がやって来る。そして、あの男がこれから先、国際舞台で尊敬されることはない。
 プーチンの存在が自国の歴史の汚点となって、いまは大人しくしているプーチンの取り巻きからも、彼が邪魔者になる日が刻々と近づいているようにおもうのだが、歴史の審判ははたしてどうなるだろうか。

■室見川河畔で芽吹いたばかりの青い草を食べているコガモたち。季節はめぐる。このブログの初回にも、同じような写真を載せた。

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://ichi-yume.asablo.jp/blog/2022/03/24/9475345/tb

※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。