新潟の山の幸、福岡の海の幸2023年05月19日 12時35分

 一昨日も、昨日も夕餉はおいしくて、たのしかった。食卓にはカミさんの姉から届いた山菜が並んでいた。どれもこれもがうまかった。雪深い新潟県南魚沼市の山中でとれたばかりのもの。手間をかけて、お金をかけて、わざわざ送っていただいた。ありがたいことである。
 カミさんによれば、義姉は先日のぼくのブログを見て、「イタドリを食べてるなんて、かわいそうになってさ」、ということらしい。なにしろ、あちらは山菜の本場なのだ。
 ダンボール箱のなかに入っていたのは、ネマガリダケ、タラの芽、コシアブラの芽、木の芽(アケビのツルの新芽)、ウド、ワラビ、フキ、それに立派なマイタケ。
 ウドとワラビはすぐ食べられるように、きんぴら風に味つけされていた。ネマガリダケもひとつの袋入りは、そのまま調理できるように皮をはいで、固い節のところは切り落としてあった。
 まるで計ったようなタイミングで、いつもより早く仕事が終わって帰宅したカミさんは、さっそくネマガリダケがたっぷり入った親子丼の具をつくってくれた。
 このかわいらしい筍は下茹でする必要がない。九州にはない種類で、春になるとブナやナラの林の下に広がっている笹薮から「お待たせしました」と顔を出す。
 この夜、ふたりで食べた山菜は、ウド、ワラビ、木の芽、ネマガリダケの4種類。どれもこれもが久しぶりの味で、どんどん箸がすすむ。やや大ぶりのぐい呑みに注いだ冷や酒も、アテ(つまみ)がいいので、たちまち空いてしまう。
 こんな夜は、いつ以来かなぁ。
 新潟の里も今年は暖かくなるのが異常に早くて、コゴミやフキノトウはあっという間に大きくなってしまい、姉の家でも食べそこなった山菜料理があったという。先の大型連休中に、東京から山菜を求めてやって来て、当てが外れたという人たちも多かったに違いない。
 舞台は変わって、活きのいい魚料理が売り物のここ福岡でも、これから先、当てが外れたという観光客が出てくるかもしれない。
 すでにその前兆は始まっていて、昨年あたりからスーパーの鮮魚コーナーに登場する魚の種類が目に見えて少なくなった。いつ行ってもアジやサバ、養殖モノのタイやハマチ(ワラサ)、輸入モノや解凍されたサケ、カラスカレイ、赤魚、イカ、タコ、エビなどが、いつものようにあるだけだ。握り寿司のセットには、近くの海でとれた旬のネタは、まず入っていない。
 近海モノのアラカブ(カサゴ)、メバル、ヒラメ、スズキ、コチ、キス、サヨリ、メジマグロ、カワハギ、フグ、タチウオ、キューセン(ベラ)、ヤリイカなどの姿はたまにしか見かけなくなった。あったとしても、サイズが小さなものばかりだ。
 近郊の漁連の話では、海水温の変動の影響で、とれる魚や旬の時期が変わってしまったという。そこへ中国からの依頼を受けた仲買人たちによる高級魚の買い占めが追い打ちをかけている。
 福岡の魚市場も、カネ、カネ、カネの一辺倒になってしまったのだ。このままでは活きのいい魚のうまい街・福岡も、いつまで来訪者の期待に持ちこたえられるかわからない。
 海は変わった。もう元には戻らない。魚市場の勢力も海外のカネの力で一変した。これからはもっと拍車がかかるだろう。
 全国各地の人たちには、にわかに信じられないだろうが、福岡市民は近くの海でとれていた、いろんな新鮮な魚をひところのように手軽に食べることができなくなっている。
 「山菜とるな」の看板が目立つようになってきた、あの新潟の豊饒な山は大丈夫だろうか。

■届いた小包みには、一通の白い封筒も納められていた。なかには歌手の中澤卓也のコンサートのチケットが2枚入っていた。席はいちばんいい特等席。
 以前、このブログに書いたように、義姉は卓也の大ファンである。
「ふたりで行っておいで、だって。お父さん、行こうね」
 カミさんには黙っているが、今回やってきた「幸せ便」も、元をたどれば、ぼくは嫁さん選びに成功した、ということだろう。相方はどうおもっているのだろうか、悪い予感が当たりそうなので、とても聞けないが。

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