団地の「空き室」をめぐる空騒ぎ ― 2024年08月06日 22時27分

歓喜と失望のもつれあいに振りまわされた。と言っても、ぼくではなくて、カミさんと年下の友人・Kさんのことである。彼女はひところカミさんと同じ職場で働いていて、いまでも付き合いがある。
ことの始まりは、土曜日の午前中に届いたKさんからのメールだった。
新築のときから27年間も住んでいる3LDKのマンションを処分して、移転先にはぼくたちと同じ団地の1階の空き室を考えている。今日、その内覧に行くので、お昼ごはんを一緒にしませんか、という誘いだった。
Kさんもかつてはこの団地で暮らしていたという。10数年前にご主人に先立たれて、ひと月前には実家の母親も亡くなった。息子は関東で就職して戻って来そうもなく、娘は近くで家庭を持っていて、ずっと独り暮らしが続いている。
住み慣れたマンションは老朽化が進み、2回目の補修工事の費用は1億円近くもかかる。駐車場などの維持費も結構な金額になる。くじ引きの結果、運悪く引き受けざるを得なかったマンションの理事長の役目は、女のくせにとバカにする男性もいるから、一日も早く辞めたくてたまらない。先々のことをよくよく考えたら、思い切ってマンションを売りに出して、そのおカネを元に身軽に暮らしたいということだった。(これらの事情はあとからカミさんが教えてくれた。)
歩いて5分ほどはなれた空き室の下見に付き合って、額に汗を浮かべて帰宅したカミさんの第一声は、「感動したあ!」だった。
「1階の2DKの部屋はね、段差なしのバリアフリーでね、すっごくきれいなの。フローリングから畳、キッチンシステム、洗面所、シャワートイレ、浴槽、タイルも壁紙も、もちろんぜんぶ新品よ。収納スペースは部屋の壁一面がそうなっていて、洋風ですっきりしているし、玄関とキッチンの仕切りはおしゃれな引き戸なの。あれなら車椅子でも移動しやすいよね。水まわりはどこも給湯式だし、ベランダのちょっと先の正面には大きな桜の木があって、部屋の中から花見もできるのよ。もう、すっごくいいところなんだから。気に入ったなぁ。あれで家賃は共益費込みで38,000円台よ。安いよね」
「Kさんが引っ越す部屋だろ。どうしてお前がそんなに興奮するの?」
「だって、よかったんだもの。私たちも歳をとったら、1階のバリアフリーに改装された部屋に引っ越そうよ。同じ団地内だから、敷金も要らないし。あーあ、いい部屋だったなぁ」
かなりほめ過ぎのきらいはあるものの、カミさんがこんなふうに感心するところが、ぼくたち夫婦の生活のレベルをよく表している。彼女にとっては、自分たちにも手が届く超掘り出しモノの物件なのだろう。
同様の声はほかにもいくつか聞いたことがある。高齢者を対象にしたバリアフリーの部屋は1階だけで、空き室が出るたびに順次、改装されている。築50年以上になるこの公団住宅も、ようやく時代のニーズにマッチしたヒット商品の誕生といったところか。
Kさんもおおいに気に入って、上機嫌で帰ったという。
翌日の朝、Kさんからメールが届いた。
「娘も賛成してくれたので、今朝、URに電話したら、先に契約した人がいました」
夢がいっぱい膨らんでいただけに、逃がした魚はあまりにも大きかった。ぼくまで、がっかり、である。
ところが、午後になって事態は急変した。
あの部屋のことを諦めきれないカミさんが性懲りもなくインターネットで団地の空き室情報を調べていたら、「まさか」が起きていた。同じ仕様の空き室があることを発見したのだ。よろこび勇んで、すぐKさんにメールで連絡した。
それから10分も経たないうちにまた異変が起きた。肝心の空き室情報がURのホームページからかき消えていたのである。
立て続けに二度も打ちのめされて、すっかり気落ちしたカミさんは、Kさんのスマホに「騒がせてごめんね」とお詫びのメールを送った。
ほどなく、彼女から返信が届いた。
「空き室の情報が消えたのは、わたしが契約したからです。娘からも同じ連絡があっので、すぐ契約を申し込みました」
まさか、こんな「話のオチ」が待っていようとは。
舞い上がったり、意気消沈したり、最後はガクッ! となって、ぼくたち夫婦はくたくたになった。親しい友だちと同じ団地で暮らすようになれるのも、口で言うほど簡単ではない。
■ハチの種類のなかで、子どものころから好きなのはミツバチとクマバチである。鹿児島にいたころ、クマバチはぼくたち男の子に人気があった。つややかな黒地と金色にかがやく、丸くておおきなからだは、ハチのなかでも別格で、恐る恐る近づいて、じっとその動きを観察するのがおもしろかった。いまでも見つけるたびに立ち止まってしまう。
ことの始まりは、土曜日の午前中に届いたKさんからのメールだった。
新築のときから27年間も住んでいる3LDKのマンションを処分して、移転先にはぼくたちと同じ団地の1階の空き室を考えている。今日、その内覧に行くので、お昼ごはんを一緒にしませんか、という誘いだった。
Kさんもかつてはこの団地で暮らしていたという。10数年前にご主人に先立たれて、ひと月前には実家の母親も亡くなった。息子は関東で就職して戻って来そうもなく、娘は近くで家庭を持っていて、ずっと独り暮らしが続いている。
住み慣れたマンションは老朽化が進み、2回目の補修工事の費用は1億円近くもかかる。駐車場などの維持費も結構な金額になる。くじ引きの結果、運悪く引き受けざるを得なかったマンションの理事長の役目は、女のくせにとバカにする男性もいるから、一日も早く辞めたくてたまらない。先々のことをよくよく考えたら、思い切ってマンションを売りに出して、そのおカネを元に身軽に暮らしたいということだった。(これらの事情はあとからカミさんが教えてくれた。)
歩いて5分ほどはなれた空き室の下見に付き合って、額に汗を浮かべて帰宅したカミさんの第一声は、「感動したあ!」だった。
「1階の2DKの部屋はね、段差なしのバリアフリーでね、すっごくきれいなの。フローリングから畳、キッチンシステム、洗面所、シャワートイレ、浴槽、タイルも壁紙も、もちろんぜんぶ新品よ。収納スペースは部屋の壁一面がそうなっていて、洋風ですっきりしているし、玄関とキッチンの仕切りはおしゃれな引き戸なの。あれなら車椅子でも移動しやすいよね。水まわりはどこも給湯式だし、ベランダのちょっと先の正面には大きな桜の木があって、部屋の中から花見もできるのよ。もう、すっごくいいところなんだから。気に入ったなぁ。あれで家賃は共益費込みで38,000円台よ。安いよね」
「Kさんが引っ越す部屋だろ。どうしてお前がそんなに興奮するの?」
「だって、よかったんだもの。私たちも歳をとったら、1階のバリアフリーに改装された部屋に引っ越そうよ。同じ団地内だから、敷金も要らないし。あーあ、いい部屋だったなぁ」
かなりほめ過ぎのきらいはあるものの、カミさんがこんなふうに感心するところが、ぼくたち夫婦の生活のレベルをよく表している。彼女にとっては、自分たちにも手が届く超掘り出しモノの物件なのだろう。
同様の声はほかにもいくつか聞いたことがある。高齢者を対象にしたバリアフリーの部屋は1階だけで、空き室が出るたびに順次、改装されている。築50年以上になるこの公団住宅も、ようやく時代のニーズにマッチしたヒット商品の誕生といったところか。
Kさんもおおいに気に入って、上機嫌で帰ったという。
翌日の朝、Kさんからメールが届いた。
「娘も賛成してくれたので、今朝、URに電話したら、先に契約した人がいました」
夢がいっぱい膨らんでいただけに、逃がした魚はあまりにも大きかった。ぼくまで、がっかり、である。
ところが、午後になって事態は急変した。
あの部屋のことを諦めきれないカミさんが性懲りもなくインターネットで団地の空き室情報を調べていたら、「まさか」が起きていた。同じ仕様の空き室があることを発見したのだ。よろこび勇んで、すぐKさんにメールで連絡した。
それから10分も経たないうちにまた異変が起きた。肝心の空き室情報がURのホームページからかき消えていたのである。
立て続けに二度も打ちのめされて、すっかり気落ちしたカミさんは、Kさんのスマホに「騒がせてごめんね」とお詫びのメールを送った。
ほどなく、彼女から返信が届いた。
「空き室の情報が消えたのは、わたしが契約したからです。娘からも同じ連絡があっので、すぐ契約を申し込みました」
まさか、こんな「話のオチ」が待っていようとは。
舞い上がったり、意気消沈したり、最後はガクッ! となって、ぼくたち夫婦はくたくたになった。親しい友だちと同じ団地で暮らすようになれるのも、口で言うほど簡単ではない。
■ハチの種類のなかで、子どものころから好きなのはミツバチとクマバチである。鹿児島にいたころ、クマバチはぼくたち男の子に人気があった。つややかな黒地と金色にかがやく、丸くておおきなからだは、ハチのなかでも別格で、恐る恐る近づいて、じっとその動きを観察するのがおもしろかった。いまでも見つけるたびに立ち止まってしまう。
ひとつ屋根の下、熱中症で亡くなった ― 2024年08月18日 17時26分

命にかかわる猛暑日がつづいて、とうとう恐れていた事態が起きてしまった。ぼくたちの住居と同じ棟で、3階の部屋を借りていた独り暮らしの男性老人が熱中症で亡くなった。
使用している階段は別なので、ふだんのお付き合いはなかったが、ひとつ屋根の下だから、もちろんお顔は知っている。
お歳はたぶんぼくより少し上。小柄な痩せ型で、白髪頭を短く刈り上げて、ちょっと右脚をひきずって歩き、出かけるときはよく自転車に乗る人だった。3階への登り降りはひと苦労だったとおもう。
これまで耳に入ってきた情報をまとめると―、
ここ数日、彼の部屋に近づくと何かくさい臭いがしたという。1階の郵便物入れのポストにはチラシが溜まっていた。
顔を見なくなったのは1週間ほど前からだった。ご近所さんたちが無関心だったわけではなく、携帯に電話したり、インターホンを押したり、ドアをたたいて、安否を気遣う人もいた。その声は日ごとに同じ階段を使う人たちのあいだで広がって、民生委員の人とも相談の上で119番通報したのが、死亡が確認された昨日の昼過ぎだった。
現場を検証した警察官の話では、エアコンは作動していて、設定温度は19度。ところが、冷房ではなく、送風になっていて、室温は30度だった。
こうして人知れず、ひとりの人が亡くなった。
ぼくの父親も熱中症で孤独死だったから、どうしても父の元気な顔と最期の姿とが重なってしまい、いまでもこころのざわめきがおさまらない。
死は、人間の尊厳にかかわるものだ。
故人を決して貶(おとし)める気持ちなど毛頭ないことを前提に、こんな人がいたんだということの、ごくごく最後のいったんを書き留めておく。
以下は、心配して携帯に電話を入れたり、ドアをたたいて、その亡骸(なきがら)を送り出した人との会話である。
「エアコンもね、俺が買った店を紹介して、新しいのに買い替えたばかりの新品なんよ。でも、使いきらんかったんやろうね。俺もあの人と同じ生活保護やからわかるんよ。
使えるカネがないっちゃけん。エアコンの電気代で1万円も超すのはね、とてもやれんよ。我慢して、送風にしておこうってなるもん。1万円あったら、10日分の食品が買えるからね。
あの人も食事を節約していた。朝はパン2枚とバナナ1本だけとか、言いよらした。年金は多い方がいいけど、そんな人ばっかりじゃないもんね。俺も独り暮らしだから、お互いになんかあったら連絡を取り合おうって、いいよったんよ。昨日も2回、電話したんやけどね。
足が悪いのに、魚釣りが好きで、おおきな石鯛ももろうたこともある。死んでしもうて、そりゃあ、残念だけど、どっちかいうと、もういいよ、きつかったね、ゆっくり休んでくださいという気持ちの方が強いかなぁ」
「あなたも気をつけてよ。酒を飲んで、エアコンの冷房を暖房にしたまま寝てしまったと言ってたじゃない。独り暮らしなんだからね」
この国は、老人に冷たい国だとおもう。
若いころからどんなに一生懸命に働いても、会社に所属していないからとの線引きで、厚生年金の対象から除外され、わずかな国民年金しかもらえない人が大勢いる。
年金制度の抜本的な改革の必要性はたびたび指摘されてきたが、ここまで何もしてこなかった政治の結果がこれだ。いまはそのツケがあちらこちらでボロボロ出ている。高齢化社会はこれから本格化するから、昨日のような悲劇はまだまだ序の口と覚悟した方がいい。
自己実現の夢を追いかける若い世代の人たちも、積み残されてきたこの国の不条理をよくよく考えた方がいいとおもう。
■ぼくたち夫婦は4、5日前から喉が痛くて、鼻水も出て、よく眠れない夜が続いている。一昨日、心配性のカミさんは「コロナかどうか診てもらう」と近くのクリニックに出かけて行った。検査の結果はコロナではなく、溶連菌に感染だった。
後を追うようにして、ぼくも検査を受けた。やっぱり溶連菌が見つかった。少し体調はよくなったけれど、人さまに移ったらいけないので、クーラーをつけっぱなしにした部屋のなかでおとなしくしている。
■立秋を過ぎて、秋を探しに散歩に行った。山芋のつるにムカゴを見つけた。
使用している階段は別なので、ふだんのお付き合いはなかったが、ひとつ屋根の下だから、もちろんお顔は知っている。
お歳はたぶんぼくより少し上。小柄な痩せ型で、白髪頭を短く刈り上げて、ちょっと右脚をひきずって歩き、出かけるときはよく自転車に乗る人だった。3階への登り降りはひと苦労だったとおもう。
これまで耳に入ってきた情報をまとめると―、
ここ数日、彼の部屋に近づくと何かくさい臭いがしたという。1階の郵便物入れのポストにはチラシが溜まっていた。
顔を見なくなったのは1週間ほど前からだった。ご近所さんたちが無関心だったわけではなく、携帯に電話したり、インターホンを押したり、ドアをたたいて、安否を気遣う人もいた。その声は日ごとに同じ階段を使う人たちのあいだで広がって、民生委員の人とも相談の上で119番通報したのが、死亡が確認された昨日の昼過ぎだった。
現場を検証した警察官の話では、エアコンは作動していて、設定温度は19度。ところが、冷房ではなく、送風になっていて、室温は30度だった。
こうして人知れず、ひとりの人が亡くなった。
ぼくの父親も熱中症で孤独死だったから、どうしても父の元気な顔と最期の姿とが重なってしまい、いまでもこころのざわめきがおさまらない。
死は、人間の尊厳にかかわるものだ。
故人を決して貶(おとし)める気持ちなど毛頭ないことを前提に、こんな人がいたんだということの、ごくごく最後のいったんを書き留めておく。
以下は、心配して携帯に電話を入れたり、ドアをたたいて、その亡骸(なきがら)を送り出した人との会話である。
「エアコンもね、俺が買った店を紹介して、新しいのに買い替えたばかりの新品なんよ。でも、使いきらんかったんやろうね。俺もあの人と同じ生活保護やからわかるんよ。
使えるカネがないっちゃけん。エアコンの電気代で1万円も超すのはね、とてもやれんよ。我慢して、送風にしておこうってなるもん。1万円あったら、10日分の食品が買えるからね。
あの人も食事を節約していた。朝はパン2枚とバナナ1本だけとか、言いよらした。年金は多い方がいいけど、そんな人ばっかりじゃないもんね。俺も独り暮らしだから、お互いになんかあったら連絡を取り合おうって、いいよったんよ。昨日も2回、電話したんやけどね。
足が悪いのに、魚釣りが好きで、おおきな石鯛ももろうたこともある。死んでしもうて、そりゃあ、残念だけど、どっちかいうと、もういいよ、きつかったね、ゆっくり休んでくださいという気持ちの方が強いかなぁ」
「あなたも気をつけてよ。酒を飲んで、エアコンの冷房を暖房にしたまま寝てしまったと言ってたじゃない。独り暮らしなんだからね」
この国は、老人に冷たい国だとおもう。
若いころからどんなに一生懸命に働いても、会社に所属していないからとの線引きで、厚生年金の対象から除外され、わずかな国民年金しかもらえない人が大勢いる。
年金制度の抜本的な改革の必要性はたびたび指摘されてきたが、ここまで何もしてこなかった政治の結果がこれだ。いまはそのツケがあちらこちらでボロボロ出ている。高齢化社会はこれから本格化するから、昨日のような悲劇はまだまだ序の口と覚悟した方がいい。
自己実現の夢を追いかける若い世代の人たちも、積み残されてきたこの国の不条理をよくよく考えた方がいいとおもう。
■ぼくたち夫婦は4、5日前から喉が痛くて、鼻水も出て、よく眠れない夜が続いている。一昨日、心配性のカミさんは「コロナかどうか診てもらう」と近くのクリニックに出かけて行った。検査の結果はコロナではなく、溶連菌に感染だった。
後を追うようにして、ぼくも検査を受けた。やっぱり溶連菌が見つかった。少し体調はよくなったけれど、人さまに移ったらいけないので、クーラーをつけっぱなしにした部屋のなかでおとなしくしている。
■立秋を過ぎて、秋を探しに散歩に行った。山芋のつるにムカゴを見つけた。
溶連菌とコロナにダブル感染 ― 2024年08月29日 18時51分

台風10号の影響で少しずつ風雨が強くなってきた。
LINEで連絡を取り合う町内会の防犯防災等連絡網がにぎやかだ。室見川の水位が急激に上がっている、71歳の男性からの避難の相談、「警戒レベル4 避難指示」などの情報が届いている。台風が最接近するのは明日だし、移動の速度がゆっくりなので、しばらくは気象情報から目がはなせそうもない。
さて、台風の話の前に書いておくことがある。ずっと休筆していた理由をあきらかにしておかないと、なんとなくおさまりがつかない気がしている。
ようやく体調がよくなってきた。前回のブログを書いた翌朝、急にからだがきつくなって、丸2日間寝たきりだった。カミさんも同じ症状が出た。
原因は、溶連菌に感染して、わずかに3日後にコロナが発症したから。溶連菌の方はまだしも、コロナの症状が出てからがつらかった。ここ10日あまり、すぐにゴロンとなってしまい、ほとんどなにもできなかった。
発熱、のどの痛み、鼻水鼻づまりで、みるみる体力が落ちた。がんばって立ち上がっても、我慢できずに床にくずれ落ちて、何時間もそのままになってしまう。吐き気もして、ひと口食べるのがやっとだった。
細菌戦争、ウィルス戦争は人類の終わりのない戦いである。ついこの前までは、コロナのワクチンも特効薬もなかった。家族からも隔離されて、世界中に拡散したこのウィルスとの戦いに全精力を使い果たして亡くなった人は、1年前の時点で約690万人もいる。みなさん、ものすごく苦しかったとおもう。そのきつさのほんのいくらかがわかった。
医者から処方された溶連菌の薬を10日分、コロナの方は5日分を飲んだ。順調に熱は下がったけれど、まだ全快にはほど遠い。ふたりともずいぶん痩せてしまった。
実はこのブログ、何度も書いて5日目になる。とても気力が続かず、書いてもおもしろくなくて、放り投げていた。
溶連菌はともかく、コロナの感染経路については思い当たる節がある。また感染者が増えているようなので、注意事項として書いておく。
感染した場所は、溶連菌の検査を受けたクリニックがいちばんあやしい。
そのとき、ぼくたち夫婦は念のためにコロナも調べてもらった。結果は陰性だった。それから3日後、朝から発熱とのどの痛みがぶり返した。夕方、同じクリニックで検査したら、コロナウイルスの反応が出たのだ。
この間、ぼくたちは人との接触を極力避けていたので、感染したのは当のクリニックがいちばん可能性が高い。あそこの待合室はゴホゴホやっている患者で満席だったし、ぼくたち発熱外来も一緒だったのだ。「やばいなぁ」がその通りになった。
言いたいのはここからで、何度も思い返すシーンがある。
医院長の女医は顔色ひとつ変えることなく、ケロリとしていた。そして、こう言った。
「はい。予想通り、コロナだね」
同じくコロナウイルスが検出されたカミさんはこう言われた。
「仲がいいね」
こんなのが医者かとおもった。お大事に、のひと言も、今後の治療の説明もいっさいなし。これでは診療所がコロナ感染の「蟻の一穴」になりかねない。
あの女医さんは、いつ自分が感染しても不思議ではない環境のなかで診察に当たっているから、医者としての使命感はお持ちなのだろう。だが、そこは割り引いても、とてもあのセリフはいただけないとおもう。
上には上がいるもので、こんな医者もいる。
以前、カミさんはある診療所で、別の医院から出された薬との飲み合わせが心配になって質問したとき、年配の医者からこう言われたことがあったという。
「そんなことは知らんよ!」
こうなるともはや天才的な喜劇役者としか言いようがない。お笑い番組に推薦したくなる。 医者だからジョーシキの持ち主とは限らないのだ。
うーん、めったにいないタイプの医者に出会ったなぁ。変わった人だよなぁ。お陰様で世間が広がりました。
そうおもうしかあるまい。
病は気から、という。台風一過ではないが、ここらで気分を切り替えることにしよう。
■福岡市防災気象情報のホームページを開いて、河川カメラで室見川の水位をチェックする。水量は増えているけれど、まだ川沿いの遊歩道までは上がっていない。
山から海へ短い距離を下っていく日本の川は、平地を流れるヨーロッパの河川と違って、まるで滝のようだと言われる。まとまった雨が降るとほとんどの川はすぐにこうなる。
LINEで連絡を取り合う町内会の防犯防災等連絡網がにぎやかだ。室見川の水位が急激に上がっている、71歳の男性からの避難の相談、「警戒レベル4 避難指示」などの情報が届いている。台風が最接近するのは明日だし、移動の速度がゆっくりなので、しばらくは気象情報から目がはなせそうもない。
さて、台風の話の前に書いておくことがある。ずっと休筆していた理由をあきらかにしておかないと、なんとなくおさまりがつかない気がしている。
ようやく体調がよくなってきた。前回のブログを書いた翌朝、急にからだがきつくなって、丸2日間寝たきりだった。カミさんも同じ症状が出た。
原因は、溶連菌に感染して、わずかに3日後にコロナが発症したから。溶連菌の方はまだしも、コロナの症状が出てからがつらかった。ここ10日あまり、すぐにゴロンとなってしまい、ほとんどなにもできなかった。
発熱、のどの痛み、鼻水鼻づまりで、みるみる体力が落ちた。がんばって立ち上がっても、我慢できずに床にくずれ落ちて、何時間もそのままになってしまう。吐き気もして、ひと口食べるのがやっとだった。
細菌戦争、ウィルス戦争は人類の終わりのない戦いである。ついこの前までは、コロナのワクチンも特効薬もなかった。家族からも隔離されて、世界中に拡散したこのウィルスとの戦いに全精力を使い果たして亡くなった人は、1年前の時点で約690万人もいる。みなさん、ものすごく苦しかったとおもう。そのきつさのほんのいくらかがわかった。
医者から処方された溶連菌の薬を10日分、コロナの方は5日分を飲んだ。順調に熱は下がったけれど、まだ全快にはほど遠い。ふたりともずいぶん痩せてしまった。
実はこのブログ、何度も書いて5日目になる。とても気力が続かず、書いてもおもしろくなくて、放り投げていた。
溶連菌はともかく、コロナの感染経路については思い当たる節がある。また感染者が増えているようなので、注意事項として書いておく。
感染した場所は、溶連菌の検査を受けたクリニックがいちばんあやしい。
そのとき、ぼくたち夫婦は念のためにコロナも調べてもらった。結果は陰性だった。それから3日後、朝から発熱とのどの痛みがぶり返した。夕方、同じクリニックで検査したら、コロナウイルスの反応が出たのだ。
この間、ぼくたちは人との接触を極力避けていたので、感染したのは当のクリニックがいちばん可能性が高い。あそこの待合室はゴホゴホやっている患者で満席だったし、ぼくたち発熱外来も一緒だったのだ。「やばいなぁ」がその通りになった。
言いたいのはここからで、何度も思い返すシーンがある。
医院長の女医は顔色ひとつ変えることなく、ケロリとしていた。そして、こう言った。
「はい。予想通り、コロナだね」
同じくコロナウイルスが検出されたカミさんはこう言われた。
「仲がいいね」
こんなのが医者かとおもった。お大事に、のひと言も、今後の治療の説明もいっさいなし。これでは診療所がコロナ感染の「蟻の一穴」になりかねない。
あの女医さんは、いつ自分が感染しても不思議ではない環境のなかで診察に当たっているから、医者としての使命感はお持ちなのだろう。だが、そこは割り引いても、とてもあのセリフはいただけないとおもう。
上には上がいるもので、こんな医者もいる。
以前、カミさんはある診療所で、別の医院から出された薬との飲み合わせが心配になって質問したとき、年配の医者からこう言われたことがあったという。
「そんなことは知らんよ!」
こうなるともはや天才的な喜劇役者としか言いようがない。お笑い番組に推薦したくなる。 医者だからジョーシキの持ち主とは限らないのだ。
うーん、めったにいないタイプの医者に出会ったなぁ。変わった人だよなぁ。お陰様で世間が広がりました。
そうおもうしかあるまい。
病は気から、という。台風一過ではないが、ここらで気分を切り替えることにしよう。
■福岡市防災気象情報のホームページを開いて、河川カメラで室見川の水位をチェックする。水量は増えているけれど、まだ川沿いの遊歩道までは上がっていない。
山から海へ短い距離を下っていく日本の川は、平地を流れるヨーロッパの河川と違って、まるで滝のようだと言われる。まとまった雨が降るとほとんどの川はすぐにこうなる。
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