ふたりとも当選しました2023年04月25日 17時48分

 先の日曜日は統一地方選の後半戦の投開票日だった。ぼくが少し手伝ったのは福岡都市圏の首長選と群馬県の工業都市の市議選の新人候補者。どちらも面識のなかった人で、前者は59歳の元役場職員、後者は43歳の飲食店経営のシングルマザーである。
 結果は、お二人ともめでたく当選した。やれやれ、よかった、よかった。
 家族や仕事と同じように、選挙戦もいいチームがつくれるとうまくいくものだ。
 役所勤めひと筋だった男性には、この人のほかにはいないという長老格がついていた。そういう「おさまりのいい人」は、特に新人の候補者には欠くことのできない存在で、何も言わなくても陣営には落ち着きが出てくる。仲間内で言い争いが起きても、彼のとりなしでたちまち丸くおさまる。
 ぼくは大事なときに手術を受けたので、期待されていた役目はろくに果たせなかったが、当選が決まった翌日にはその方からていねいな電話をいただいた。
「一杯やりましょう」に続いて頼まれたのは、早くも2期目の選挙のことである。2期目が簡単にはいかないことをだれよりもわかっているのだ。
 でも、4年後のことはとても約束できそうもない。仕事でも、恋愛でも、いいパートナーとの出会いと共同作業には、期の熟す流れに乗っているときとそうでないときがある。ここはさりげなく話をそらすことにした。
 もうひとりの女性候補者は「選挙のことは何もわからない素人です」と言っていた。ただ、「こんな私でも市会議員になれることを証明したい」という彼女の決意と勇気は並みではなかった。
 彼女のことも先にブログで取り上げたが、女の手ひとりで子どもを育てあげ、政治にはまったく無縁で、組織の後ろ盾もない女性が定員30名、立候補者数36名のうち、上から18番目で初当選をやってのけた。ノーマークから議会刷新のあざやかな一石を投じたわけで、快挙と言っていい。
 もはや彼女はひとりではない。高齢者の男性議員が幅を利かしている保守的な土地で、大勢の支持者がいることが明らかになった。
 政治は、政党間で争う国政選挙よりも、身近な生活上の問題がテーマになる地方選挙から変動が始まる。今回の統一地方選ではまだまだとはいえ、新人女性議員の進出が目を引いた。そもそも全国的に議会の男女のバランスがおかしいのだ。女性の活躍は遅すぎるぐらいである。
「頑張ったですね。これからが本領発揮のとき、ご活躍を期待しています。議会の古い体質に負けないで!」とメッセージを送ったら、「負けずに頑張ります! 術後の経過はいかがですか? ご自愛ください」とすぐ返信がきた。
 この心遣いがうれしい。できることなら、いまからでも彼女がやっている小料理屋にふらりと顔を出して、黙ったままカウンターの端っこに腰掛けて、一杯やりたくなった。
「自分が投票しても、どうせ政治は変わらないもん」と投票用紙をほうり出したままの人にとっては、いくらこんなことを書いても、まるっきり無縁の世界の生き方に映るかもしれない。
 そのことについて、とやかく言う気はない。
 それでも立候補する人たち、再チャレンジする人たちは次々に出てくる。後に続く女性たちもどんどん増えていくだろう。
 それでいいのだ。
 立ち上がる人が出てこなくなったら、この国には夢がないことになる。

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