室見川から消えた秋の景色2023年11月03日 18時11分

 自然が変わってしまうことは、近くの室見川でも起きている。
 秋の彼岸が過ぎるころから、室見川には博多湾から数えきれないほどのハゼがのぼってきた。河口一帯はハゼ釣りの名所だった。
 潮が満ちはじめるにつれて、川の両岸には釣り竿やバケツを提げた家族連れがやってきて、どのバケツのなかにも生きたハゼが入っていた。あちこちから「今夜はハゼの天ぷらにしよう」とか、「大きいのは刺身がいいね」という、たのしそうな会話も聞こえた。
 残念ながら、すべて過去形の話である。いま釣り人はだれもいない。あんなにいたハゼはすっかりいなくなった。
 どこかで書いたが、そして、確たる根拠はないが、原因は環境汚染だとおもっている。
 あるときから釣り上げたハゼのお腹のなかは、ぜんぶ白子になった。つぶつぶのたまごを持っているハゼはいなくなった。
 家に持ち帰った30匹ほどのハゼを包丁でさばくと、膨らんだ腹から出てくるのはどれもこれも白子だった。ハゼは産卵のために室見川の汽水域までのぼってくるのに、みんな白子なのだ。新しい生命が生まれるわけがない。
 恐ろしくなった。こんなもの食べて大丈夫なのかとおもった。そして、近い将来、室見川からハゼはいなくなると確信した。
 テレビ局や新聞社の記者たちは、こんな異変に気がついていないのか、オレなら絶対に調べるのに。でも、本当に環境汚染だとしたら、記事にしたときの影響は大きいだろうな、そんなことも考えた。
 もう20年以上も前のことだ。この認識は誤りなのかもしれない。だが、だれも声をあげないので、一筆書いておく。
 このような環境の変化は室見川に限らない。そこらへんを散歩するだけでも、ふだんの生活の足もとに異変を告げる赤信号は点滅している。
 以前よりも、スズメをみなくなった。カラスも減った。近くのスーパーの魚売り場のコーナーには、なんと北海道産のブリの切り身が並んでいた。しかも、このあたりでとれる近海モノよりもサイズが大きくて、立派である。北の海でブリの大漁が続いているのは報道で見聞きしていたが、まさかここ福岡市でその現実を突きつけられるとは。
 ブリは九州が本場だとおもっている。博多では正月の雑煮の定番である。それなのに本場の面目、丸潰れの一幕だった。
 こうしてだんだん異変にも慣れて、おかしいことを、おかしいとおもわなくなっていくのだろうか。いや、とっくの昔からそうだったという気がしてならない。

■明日はルヴァンカップの決勝戦。わがアビスパ福岡は国立競技場で浦和レッズと対戦する。
 勝ってほしい。優勝してほしい。応援をはじめてから20年ほどになる。本当に弱かった。よく負けた。それがどうだ、ついにここまで来た。あと1試合。きっと勝つ。
 写真は先週土曜日に地元であった横浜FM戦。今季いちばん多いサポーターが集まった前で、0-4で負けた。
 でも、内容にはみるものがあった。だからこそ、「浦和には絶対に勝つ。優勝する」。選手たちには先日の敗戦が強烈なバネになっているはずだ。明日はテレビの前で、「ヤッター」と叫んで、何度も立ち上がるぞ。

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://ichi-yume.asablo.jp/blog/2023/11/03/9630963/tb

※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。