福岡マラソンをめぐって ― 2025年10月16日 14時43分
自転車置き場の前で、1階の部屋に住んでいるOさんに会った。ぼくと同じ寅年生まれ。髪は短く、小柄でがっちりした体格で、いつも明るく話す人である。
「今年の福岡マラソンには参加するんですか」
「いや、ちょっとお尻の方を痛めてですね。娘たちも、もう歳だから止めた方がいいよ、と言うものですから、去年に続いて参加は見送ることにしました」
「残念ですね。でも、出たくて、うずうずしているんじゃないですか」
「ええ。来年は出ようとおもっています」
Oさんは高校時代から陸上の長距離選手で、あの九州一周駅伝の常連ランナーだった。現役を引退した後も、ある実業団の有力チームの監督までやった人なのだ。室見川の河畔をジョギングしている市民ランナーたちとは走力、持久力、ペース配分や地形や風の変化などへの対応力とも次元が違うはず。福岡マラソンに参加したら、年齢別のベスト10に入るとおもう。
ぼくらが10代のころ、わが九州は長距離王国だった。日本長距離界の育ての親とも言われ、メキシコ五輪の男子マラソンで銀メダルを獲得した君原健二を鍛えた高橋進(八幡製鉄陸上部監督)もいて、日本のマラソン界を引っ張っていた。そのなかにOさんもいたわけだ。
「高橋進さんは雲の上の人ですよ。あれをやれ、手伝えとよく声をかけられました。こちらは下っ端ですから、いろいろ教えてもらいました」
「広島の中国電力も、福岡の九電工も強かったですね」
ちいさな声でしか言えないが、なにを血迷ったか、ぼくも高校時代は陸上部にいた時期がある。クラスのなかでは短距離も、長距離も速い方だった。1年生ときのクラスマッチでは、まだ背丈は低かったけれど、走り高跳びで、ベリーロールの飛び方に初挑戦して、1年生ぜんたいの一番になったこともある。中学3年のときは体育委員長もやった。
だが、どれもこれも小さな世界の低レベルのことで、こうしてもったいをつけて書くのもはずかしくて、自慢話にもならない。選手としてはぜんぜん駄目だった。
同期の桜のOさんは、ぼくなんか足元にも及ばない存在なのだ。身近にいる人にもいろんな顔がある。そこがまたおもしろい。
さて、話は変わって、先月、書き上げた短編を読んでくれた高校時代の友・Sa君から読後のメールが届いた。「数度読みました」という。彼の率直な感想も書いてあった。気をつかって適当に持ち上げてくれるよりも、こちらの聞きたい本音の声がありがたい。ズバリの指摘は、いい参考になった。
「次回作、楽しみにしています。どんどん書いてね」と尻をたたかれた。「やります」と返信した。
Oさんのようには走れないけれど、パソコンに向かって、自分のマラソンをやるか。
「今年の福岡マラソンには参加するんですか」
「いや、ちょっとお尻の方を痛めてですね。娘たちも、もう歳だから止めた方がいいよ、と言うものですから、去年に続いて参加は見送ることにしました」
「残念ですね。でも、出たくて、うずうずしているんじゃないですか」
「ええ。来年は出ようとおもっています」
Oさんは高校時代から陸上の長距離選手で、あの九州一周駅伝の常連ランナーだった。現役を引退した後も、ある実業団の有力チームの監督までやった人なのだ。室見川の河畔をジョギングしている市民ランナーたちとは走力、持久力、ペース配分や地形や風の変化などへの対応力とも次元が違うはず。福岡マラソンに参加したら、年齢別のベスト10に入るとおもう。
ぼくらが10代のころ、わが九州は長距離王国だった。日本長距離界の育ての親とも言われ、メキシコ五輪の男子マラソンで銀メダルを獲得した君原健二を鍛えた高橋進(八幡製鉄陸上部監督)もいて、日本のマラソン界を引っ張っていた。そのなかにOさんもいたわけだ。
「高橋進さんは雲の上の人ですよ。あれをやれ、手伝えとよく声をかけられました。こちらは下っ端ですから、いろいろ教えてもらいました」
「広島の中国電力も、福岡の九電工も強かったですね」
ちいさな声でしか言えないが、なにを血迷ったか、ぼくも高校時代は陸上部にいた時期がある。クラスのなかでは短距離も、長距離も速い方だった。1年生ときのクラスマッチでは、まだ背丈は低かったけれど、走り高跳びで、ベリーロールの飛び方に初挑戦して、1年生ぜんたいの一番になったこともある。中学3年のときは体育委員長もやった。
だが、どれもこれも小さな世界の低レベルのことで、こうしてもったいをつけて書くのもはずかしくて、自慢話にもならない。選手としてはぜんぜん駄目だった。
同期の桜のOさんは、ぼくなんか足元にも及ばない存在なのだ。身近にいる人にもいろんな顔がある。そこがまたおもしろい。
さて、話は変わって、先月、書き上げた短編を読んでくれた高校時代の友・Sa君から読後のメールが届いた。「数度読みました」という。彼の率直な感想も書いてあった。気をつかって適当に持ち上げてくれるよりも、こちらの聞きたい本音の声がありがたい。ズバリの指摘は、いい参考になった。
「次回作、楽しみにしています。どんどん書いてね」と尻をたたかれた。「やります」と返信した。
Oさんのようには走れないけれど、パソコンに向かって、自分のマラソンをやるか。
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