こんなに長く続く人は珍しい2025年10月20日 21時15分

 化学療法室のベッドの上で、点滴を受けている。外科の担当医の診察時間はほんの5、6分で終わった。
「血液データもいいので、今日も(抗がん剤の点滴を)やりましょう」
 医者の反応には慣れている。彼の口から「気になるなぁ」もひと言が出なければいいのだ。
 化学療法室の看護師さんは、「何か気になることはありませんか?」としきりに訊いてくる。自分では気がつかなかったけれど、この部屋に入ったとき、ぼくはため息をついたらしい。
「ため息をついていたから、ああ、きついんだろうなと心配しました」
「大丈夫ですよ。ただ体調がまた谷底に落ちるのがゆううつでね。でも、治療なんだから、ここに来るときは完全に闘いのモードに切り替わっているので、心配しなくていいですよ」
「△△さんは、きょうで11回目ですね。よく続くなぁ、よく耐えられるなぁと感心しているんですよ。こんなに長く続いている人は本当に珍しいんですよ。抗がん剤を3日続けて、3種類も打つんですから、副作用がきつくて、止めてしまう人が多いんです」
 知らなかった。同じ抗がん剤治療を続けている人が何人もいるとおもっていた。
 そうか、ぼくは珍しいのか。だが、実感として、そんに耐えられないほどではない。回復するのはわかっている。なんだか自信が出てきた。
 いま15時。点滴開始から4時間余が過ぎた。胸のあたりに副作用の汗が滲んできた。ときおり腹の奥がギリギリギリッと刺し込むように痛む。
 11回目の癌細胞への総攻撃がはじまったのだ。やれ、やれ、もっとやれ、と応援する。

(ここでいったん、書くのを止める)

 このブログ、短いけれど、そろそろアップしようかなとパソコンに向かっていたら、ソフトバンクホークスの日本シリーズ出場決定が決まった。
 ぼくは日本ハムからいいようにやられて、ホークスの連敗ムードが色濃く漂っていたころ、「どうして小久保は今期、大活躍した若手を使わないんだろう。川瀬を使えばいいのに」と今夜も何度も川瀬の名前を出していた(途中から試合を観たので先発したとは知らなかった)。
 その川瀬が決勝打を放った。やっぱりゴールデンボーイだった。予想が当たって、気分がいい。
 きょうもいいことがあった。いい日だった。

■団地の生け垣に、晩秋から春先に赤い花を咲かせる山茶花(さざんか)がいっぱい蕾をつけている。

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