お宮参りの祝福の音 ― 2024年02月20日 13時45分

先の日曜日は最高気温が20度を超える季節外れの陽気だった。この日は初孫の△△ちゃんのお宮参りで、ぼくたち夫婦も車で10分少々の神社に向かった。
△△ちゃんに会うのは3回目。お母さんの腕のなかで気持ちよさそうに眠っている。ぷっくりしたほっぺたをチョンチョンしても、目を覚まさない。
拝殿で式が始まって、神主さんが太鼓をドンドンドンとたたいても、金色の飾りのついた棒を左右に振って、ジャラジャラジャラと鳴らしても、生後1か月と1週間の赤ちゃんはおとなしく眠ったままだった。このところ夜なかにひと騒ぎして、昼と夜とが逆転しているらしい。
まぁ、泣かなくて助かったのだが、目を開けてくれないと物足りないもので、やっと目を開いたら、今度は笑っている顔が見たくなる。泣いている顔だって見てみたいし、泣き声も聞きたくなる。そんなこんなで両方の新米ばあちゃんは式が終わったあと、代わるがわるに抱っこして、片時もちいさな顔から目をはなさなかった。
まったく、赤ちゃんが主役の生活になる、とはよく言ったものだ。
こうしてお宮参りはとどこおりなく終了して、夜はカミさんと軽くビールをやりながら、この日のことを振り返る話になった。笑ったね、あくびしたね、右足を蹴っていたねなど、ひとしきり△△ちゃんの話が終わって、そこから急に話の品(ひん)が落ちた。
「式典のあいだ、俺たちの背中の後ろの方で、あの太い紐をゆすって、鈴をガラガラ鳴らして、賽銭箱におカネを投げこむ音がしてたよな。拝殿室にいたオレたちは、外にいたあの人たちから神様みたいに拝まれていたんだよな」
「何度もお賽銭を入れる音がしてたでしょ。ワタシ、気になって、あっ、また神社におカネが入るんだとおもっちゃった」
「お前、そんなことを考えていたのか」
「だって、次から次に何回もおカネの音がするんだもの」
「あっ、いまのは10円玉だとか、これは100円玉かな、音が大きいから500円玉かなとか、そんなことか」
「そう。硬貨の音がしないのは、きっとお札を入れたんだわとか、ね」
「あきれた。でも、いいよなぁ、人がいっぱい来る神社は」
お宮参りに行った神社の境内で、△△ちゃんは知らない人たちから、かわいい、かわいいとモテモテだった。そう言われるとこちらもうれしくなる。みんないい人にみえてくる。
そうか、そうおもえば、別の解釈も成り立つな。あのチャリン、チャリンと景気よく聞こえていたおカネの音は、ぼくたちに向かって、きちんと二拝二拍手一拝して、△△ちゃん一家の幸せと健康をこころから願ってくれた祝福の音だったとしておこう。
チャリン、チャリンが△△ちゃんの未来についてまわりますように。
■冬の室見川の夕景。正面に見える三角形の山はこのあたりのランドマークの飯盛山。お宮参りに行った神社とは関係ないけれど、山ぜんたいが信仰の対象になっている。
△△ちゃんに会うのは3回目。お母さんの腕のなかで気持ちよさそうに眠っている。ぷっくりしたほっぺたをチョンチョンしても、目を覚まさない。
拝殿で式が始まって、神主さんが太鼓をドンドンドンとたたいても、金色の飾りのついた棒を左右に振って、ジャラジャラジャラと鳴らしても、生後1か月と1週間の赤ちゃんはおとなしく眠ったままだった。このところ夜なかにひと騒ぎして、昼と夜とが逆転しているらしい。
まぁ、泣かなくて助かったのだが、目を開けてくれないと物足りないもので、やっと目を開いたら、今度は笑っている顔が見たくなる。泣いている顔だって見てみたいし、泣き声も聞きたくなる。そんなこんなで両方の新米ばあちゃんは式が終わったあと、代わるがわるに抱っこして、片時もちいさな顔から目をはなさなかった。
まったく、赤ちゃんが主役の生活になる、とはよく言ったものだ。
こうしてお宮参りはとどこおりなく終了して、夜はカミさんと軽くビールをやりながら、この日のことを振り返る話になった。笑ったね、あくびしたね、右足を蹴っていたねなど、ひとしきり△△ちゃんの話が終わって、そこから急に話の品(ひん)が落ちた。
「式典のあいだ、俺たちの背中の後ろの方で、あの太い紐をゆすって、鈴をガラガラ鳴らして、賽銭箱におカネを投げこむ音がしてたよな。拝殿室にいたオレたちは、外にいたあの人たちから神様みたいに拝まれていたんだよな」
「何度もお賽銭を入れる音がしてたでしょ。ワタシ、気になって、あっ、また神社におカネが入るんだとおもっちゃった」
「お前、そんなことを考えていたのか」
「だって、次から次に何回もおカネの音がするんだもの」
「あっ、いまのは10円玉だとか、これは100円玉かな、音が大きいから500円玉かなとか、そんなことか」
「そう。硬貨の音がしないのは、きっとお札を入れたんだわとか、ね」
「あきれた。でも、いいよなぁ、人がいっぱい来る神社は」
お宮参りに行った神社の境内で、△△ちゃんは知らない人たちから、かわいい、かわいいとモテモテだった。そう言われるとこちらもうれしくなる。みんないい人にみえてくる。
そうか、そうおもえば、別の解釈も成り立つな。あのチャリン、チャリンと景気よく聞こえていたおカネの音は、ぼくたちに向かって、きちんと二拝二拍手一拝して、△△ちゃん一家の幸せと健康をこころから願ってくれた祝福の音だったとしておこう。
チャリン、チャリンが△△ちゃんの未来についてまわりますように。
■冬の室見川の夕景。正面に見える三角形の山はこのあたりのランドマークの飯盛山。お宮参りに行った神社とは関係ないけれど、山ぜんたいが信仰の対象になっている。
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