年内最後のCT検査も大丈夫 ― 2024年10月28日 18時32分

ことし3回目のCT検査をクリアした。
たぶん大丈夫だと自分に言い聞かせていても、やはり再発したときのことを考えてしまう。内心は怖いのだ。担当の医者もそのあたりのことがよくわかっているので、診察室で顔をあわせたとたん、「CTはなにも問題ありませんよ。順調です。この調子で行きましょう」と言ってくれた。
昨年2月21日の手術から約20か月が過ぎた。今日のような日は、「よく生きてきたなぁ」としみじみおもう。
先日は春の花見以来、ひさしぶりに室見川の河畔公園で、高校時代の友だちとふたりで昼酒をやった。3つ置いてあるコンクリート製のテーブルとイスはどれも空いていて、平日の真っ昼間から一杯やっているのは、ぼくたち高齢者のおっさんだけ。
黄色や赤に色づいた桜の枯れ葉がひらひら舞い落ちる。野鳥のさえずりが高木のケヤキやクスノキのてっぺんを渡っていく。空は青く、暑くもなし、寒くもなし。
値段の安い缶ビールもどきやペットボトル入りの白ワインでも、コップは使い捨ての透明なプラスチックでも、きれいな女の人が横にいなくても、ぼくたちにはこれで十分である。
酒のあてのメインは、前日にぼくが作ったおでんの残り。大根、こんにゃく、はんぺん、たまご、厚揚げ、ごぼう巻きを、カミさんが温めなおして、一人前ずつパックに詰めてくれた。
「おでんかぁ、いいね」
「ばたばたして作った残りものだけどな。おでんには日本酒の方が合うかな。お前、酒の方がよかったんじゃない」
どうやらマトを突いたようで、白ワインを少し残したまま、友人は歩いて2分のスーパーまで、日本酒を買い出しに行った。その紙パックを手に取って見たら、「大吟醸」と印刷されている。ぼくは用意していた陶器のぐい呑みを持ち出した。
こうなることはわかっていたのである。
友だちは大手企業を定年まで勤めあげて、立派なマイホームを建てて、なんの不安もない年金暮らし。こちらは道草ばかりやってきて、背中が寒々としている団地暮らしのプワーシニア。それでも「お前(の人生)はいいよな」、なんて言い合っている。
若いころはあの『伊豆の踊子』の舞台になった伊豆半島の有名なトンネルをふたりで歩いて、山中の宿で飲んだ仲である。なんの因果か、どちらにも縁のなかった福岡でまた一緒になって、あのころのように飲んでいる。
それもこれも互いに健康でいればこそ。
秋の夜、こうして書きながら、若いころにはなかった感情がしずかに、やがてはげしくひろがっていく。
「よかった。がんは再発していなかった。もうひと踏ん張り、やらんといかんな」。
元気づけにこれから軽く一杯やるか。
大騒ぎしている衆議院選挙の結果よりも、ぼくたち夫婦はきょうの検査の結果の方がはるかに大事なのである。
たぶん大丈夫だと自分に言い聞かせていても、やはり再発したときのことを考えてしまう。内心は怖いのだ。担当の医者もそのあたりのことがよくわかっているので、診察室で顔をあわせたとたん、「CTはなにも問題ありませんよ。順調です。この調子で行きましょう」と言ってくれた。
昨年2月21日の手術から約20か月が過ぎた。今日のような日は、「よく生きてきたなぁ」としみじみおもう。
先日は春の花見以来、ひさしぶりに室見川の河畔公園で、高校時代の友だちとふたりで昼酒をやった。3つ置いてあるコンクリート製のテーブルとイスはどれも空いていて、平日の真っ昼間から一杯やっているのは、ぼくたち高齢者のおっさんだけ。
黄色や赤に色づいた桜の枯れ葉がひらひら舞い落ちる。野鳥のさえずりが高木のケヤキやクスノキのてっぺんを渡っていく。空は青く、暑くもなし、寒くもなし。
値段の安い缶ビールもどきやペットボトル入りの白ワインでも、コップは使い捨ての透明なプラスチックでも、きれいな女の人が横にいなくても、ぼくたちにはこれで十分である。
酒のあてのメインは、前日にぼくが作ったおでんの残り。大根、こんにゃく、はんぺん、たまご、厚揚げ、ごぼう巻きを、カミさんが温めなおして、一人前ずつパックに詰めてくれた。
「おでんかぁ、いいね」
「ばたばたして作った残りものだけどな。おでんには日本酒の方が合うかな。お前、酒の方がよかったんじゃない」
どうやらマトを突いたようで、白ワインを少し残したまま、友人は歩いて2分のスーパーまで、日本酒を買い出しに行った。その紙パックを手に取って見たら、「大吟醸」と印刷されている。ぼくは用意していた陶器のぐい呑みを持ち出した。
こうなることはわかっていたのである。
友だちは大手企業を定年まで勤めあげて、立派なマイホームを建てて、なんの不安もない年金暮らし。こちらは道草ばかりやってきて、背中が寒々としている団地暮らしのプワーシニア。それでも「お前(の人生)はいいよな」、なんて言い合っている。
若いころはあの『伊豆の踊子』の舞台になった伊豆半島の有名なトンネルをふたりで歩いて、山中の宿で飲んだ仲である。なんの因果か、どちらにも縁のなかった福岡でまた一緒になって、あのころのように飲んでいる。
それもこれも互いに健康でいればこそ。
秋の夜、こうして書きながら、若いころにはなかった感情がしずかに、やがてはげしくひろがっていく。
「よかった。がんは再発していなかった。もうひと踏ん張り、やらんといかんな」。
元気づけにこれから軽く一杯やるか。
大騒ぎしている衆議院選挙の結果よりも、ぼくたち夫婦はきょうの検査の結果の方がはるかに大事なのである。
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