免許更新前の高齢者講習を受けた ― 2024年11月04日 15時30分

晩秋、霜月。今月はやることがいろいろ待ち構えている。
先日、夜来の雨のなか、車で10分ほどの自動車教習所に行って、70歳から74歳を対象にした高齢者講習を受けた。内容は運転の指導、いくつかの視力検査、安全運転の講義の3本立て。その講習の終了証明書がないと運転免許証の更新もできない決まりである。
体験した知人によれば、運転の実技でいつものように片手運転して怒られた人がいたそうだ。不慣れなS字カーブで脱輪したり、バックしながらの車庫入れに何度も失敗した人もいたという。
それでもこの場は「指導」であって、「試験」ではないので、ちゃんと終了証明書をもらえる仕組みになっている。
集まったのは男性7人、女性1人の計8人。なかには80歳ぐらいに見える人もいた。実技がはじまったのは午後3時40分ごろ。ひとり10分間ほどコースを走る。
いよいよ順番がきた。助手席の指導員はぼくたちと同年代の男性で、受講者が親しみやすく、リラックスできるように人選したのだろう。
降りしきる雨のなかのコースは路面が水びたしで、遠くの標識は暗くかすんでよく見えない。用意されたのは、一度も乗ったことのない車種。それでもドキドキしなかった。
こっちはいろんな状況の道路を何十万キロも走っているのだ。しかも、これから走るのは初心者が練習する教習所の平坦で見通しのよいコースである。
ただ、一抹の不安は、いまの安全運転のテキストに書いてあるルールに従った運転が実際にできるかどうかで、正直、その点は自信がなかった。
「あれれ、なんで。ちゃんとやったんだけどなぁ……」
不安が的中したのは、スタートしてまもなくだった。
隣にいる指導員から、ポンポン注意の言葉が飛んでくる。たとえばこんな具合である。
ちゃんと停止線の手前で車を止めたはずなのに、「少し前に出過ぎですね」。
「一時停止の時間が短いですよ。ゆっくり、イチ、ニイ、サンと数えてから、車を出しましょう」
「右折するときは、もっと首をおおきくまわして遠くの方まで確認してください。車が近づいているかもしれませんよ」
前方の左側に障害物が置かれている場所では、前後左右のどこにも車が走っていないので、十分にすき間をあけて通り越したら、「進路を変更するときには、ちゃんとウィンカーをつけてください」。
先行車が数珠つなぎになって、ゆっくり走っていたので、最後尾の車の10数メートルほど後ろにつけて、車の流れに合わせて運転していたら、「もっと車間距離を開けて。あおり運転とおもわれますよ」。
こっちは状況に合わせて、臨機応変に運転しているというのに。
もう、これ以上は数え上げたくない。またこころがズタズタになりそうだ。
やってみてわかったことは、注意された数々は多くの高齢者がふつうにやっていることだった。
定刻の5時半前にすべて終了。めでたく「運転免許取得者(高齢者講習同等)終了証明書」をいただくことができた。
ひとり当たりの客単価(手数料)は6,450円。
年金暮らしのぼくは、ふと、おもった。これも時代が求めている高齢者ビジネスのひとつかな。新たな投資も営業経費もかからないし、割のいい仕事かもしれないな。
終わりの挨拶の締めくくりに、指導員は言外に含みのあることを言った。
「今日はどこにも立ち寄らずに、このままご自宅までお帰りください。よろしいですか」
子どもじゃあるまいし。
帰り道、真っ暗な道を慎重運転しながら、スーパーに立ち寄って、缶チューハイ2本と安い赤ワインを買った。
■写真は、ウラナミシジミ。よく見かける蝶でも、こうして近づいて観ると、まるで「生きている宝石」のように美しい。
先日、夜来の雨のなか、車で10分ほどの自動車教習所に行って、70歳から74歳を対象にした高齢者講習を受けた。内容は運転の指導、いくつかの視力検査、安全運転の講義の3本立て。その講習の終了証明書がないと運転免許証の更新もできない決まりである。
体験した知人によれば、運転の実技でいつものように片手運転して怒られた人がいたそうだ。不慣れなS字カーブで脱輪したり、バックしながらの車庫入れに何度も失敗した人もいたという。
それでもこの場は「指導」であって、「試験」ではないので、ちゃんと終了証明書をもらえる仕組みになっている。
集まったのは男性7人、女性1人の計8人。なかには80歳ぐらいに見える人もいた。実技がはじまったのは午後3時40分ごろ。ひとり10分間ほどコースを走る。
いよいよ順番がきた。助手席の指導員はぼくたちと同年代の男性で、受講者が親しみやすく、リラックスできるように人選したのだろう。
降りしきる雨のなかのコースは路面が水びたしで、遠くの標識は暗くかすんでよく見えない。用意されたのは、一度も乗ったことのない車種。それでもドキドキしなかった。
こっちはいろんな状況の道路を何十万キロも走っているのだ。しかも、これから走るのは初心者が練習する教習所の平坦で見通しのよいコースである。
ただ、一抹の不安は、いまの安全運転のテキストに書いてあるルールに従った運転が実際にできるかどうかで、正直、その点は自信がなかった。
「あれれ、なんで。ちゃんとやったんだけどなぁ……」
不安が的中したのは、スタートしてまもなくだった。
隣にいる指導員から、ポンポン注意の言葉が飛んでくる。たとえばこんな具合である。
ちゃんと停止線の手前で車を止めたはずなのに、「少し前に出過ぎですね」。
「一時停止の時間が短いですよ。ゆっくり、イチ、ニイ、サンと数えてから、車を出しましょう」
「右折するときは、もっと首をおおきくまわして遠くの方まで確認してください。車が近づいているかもしれませんよ」
前方の左側に障害物が置かれている場所では、前後左右のどこにも車が走っていないので、十分にすき間をあけて通り越したら、「進路を変更するときには、ちゃんとウィンカーをつけてください」。
先行車が数珠つなぎになって、ゆっくり走っていたので、最後尾の車の10数メートルほど後ろにつけて、車の流れに合わせて運転していたら、「もっと車間距離を開けて。あおり運転とおもわれますよ」。
こっちは状況に合わせて、臨機応変に運転しているというのに。
もう、これ以上は数え上げたくない。またこころがズタズタになりそうだ。
やってみてわかったことは、注意された数々は多くの高齢者がふつうにやっていることだった。
定刻の5時半前にすべて終了。めでたく「運転免許取得者(高齢者講習同等)終了証明書」をいただくことができた。
ひとり当たりの客単価(手数料)は6,450円。
年金暮らしのぼくは、ふと、おもった。これも時代が求めている高齢者ビジネスのひとつかな。新たな投資も営業経費もかからないし、割のいい仕事かもしれないな。
終わりの挨拶の締めくくりに、指導員は言外に含みのあることを言った。
「今日はどこにも立ち寄らずに、このままご自宅までお帰りください。よろしいですか」
子どもじゃあるまいし。
帰り道、真っ暗な道を慎重運転しながら、スーパーに立ち寄って、缶チューハイ2本と安い赤ワインを買った。
■写真は、ウラナミシジミ。よく見かける蝶でも、こうして近づいて観ると、まるで「生きている宝石」のように美しい。
コメント
トラックバック
このエントリのトラックバックURL: http://ichi-yume.asablo.jp/blog/2024/11/04/9728998/tb
※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。
コメントをどうぞ
※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。
※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。