期日前投票の無言の怒り2026年02月06日 15時28分

 11時すぎ、カミさんと一緒に衆院戦の期日前投票に行ってきた。会場は近くのショッピングモールの1階。すでに数十人が並んでいた。その7割方は年寄りである。
 相変わらず頭と足元がふらつくので、いつ倒れるか不安で、いっぷんも立っていられない。左隣のカミさんの腕をつかんで、じっと耐える。前列の左の白髪頭の男性は杖にすがっている。ぼくの前の小柄な男性は列から一歩はなれて、右手で壁を押さえていた。
 ここのモールはふだんから人出が多い。それでも今日は特別で、こちらの隊列に向かって、よたよた歩いてくる年寄りたちが続く。
 もちろん、足腰のしっかりした老人もいるけれど、「この人たちは、将来の日本に危機感を持っているんだろうな」とおもった。
 そうおもうと一年中でいちばんの大雪で、悪天候が予想されるときに、自分の都合で選挙を仕掛けた高市早苗にムラムラと怒りがわいてきた。
 ここにいる人たちも、明後日の8日の投票日は大雪の恐れがあるから、それを避けるためにわざわざやって来た人もかなりの数にのぼるはずである。
 カミさんの郷の新潟の山間地や日本海側の地域では大雪で投票どころではなく、死者も続出しているのだ。さらに投票用紙だって、間に合うかどうかの地域もあるという。国民の権利を奪いかねない、こんな所業は為政者のやることか。
 重大な国事の前では、そんな個人的な問題はちっぽけなことではないか、という声も聞こえてきそうだ。しかし、この国が直面している課題は、人々が孤立を深めて、断絶した社会から、みんなで支え合う社会を取り戻すことである。個人的な問題こそ、目を向けてほしい。本当に困っている人たちに貴重な税金をつかうのが本筋だろう。
 高市首相の人気は各種の世論調査で実証ずみ。小泉も、安倍もそうだった。だが、今日の格差・貧困の状況を招いたのはほかならぬ自民党である。税金を隠して自分の懐に入れた、あの裏金問題も自民党が勝てば、高市はその防止策を真剣に検討しないまま、ほぼ100%、「これにて一件落着」にするだろう。
 ぼくは短い記者時代に自民党の政治家と親しくなって、ずいぶん育ててもらった恩義を忘れてはいない。その人たちはいまの政治に強い危機感を持っているに違いないのだ。
 中国の懐に飛び込んでいく外交のプロはどこにいるのか。消費税のことが騒がれているけれど、肝心の党税調のプロも除外された。耳の痛いことを言う日本学術会議の学者たちも追いはらわれた。
 日本の代表的な知識層をブレーンにした「教養の大平」、「経済の福田、宮沢」、「党税調のドン・山中(貞則)」もずいぶん前の話になった。
 決して懐古趣味で書いているのではない。足元ふらふらで、期日前の投票の列に並んでいた先輩や同輩諸氏たちも、きっとうなずいてくれるだろう。

■右上のベランダの柵のあいだに小さく写っている白い服が有名な「草取りばあさん」。野草のスミレや樹木がかわいそうだからと言って、ていねいに土の中の小石まで取りのぞいている。