大江健三郎少年、森の中で自殺? ― 2026年06月30日 21時44分
こんなところで闘っている。入院19日目。想定外の苦しくて、つらくて、長い時間が過ぎて行く。
だが、今月の当初の目的はまもなく果たせそうだ。
簡易日記の欄外には鉛筆で、「6月を乗り越える!!」とおおきな文字で書き込んである。明日から始まる7月は、「夏・7月を乗り越える!!」。
この地道な積み重ねと継続が余生を一日一日、延ばしている。
まわりには支えてくれる人たちがいる。ある若い男性の看護師さんは、「みんな〇〇さんを応援していますよ。なかでもぼくが一番です」とはっきり言ってくれた。75歳にもなって、彼が部屋の仕切りのベージュのカーテンを閉めた後、一分間ぐらい涙が止まらなかった。泣いてもいいとおもった。
気の滅入る話だが、同じ境遇の人、いや、もっとどん底で、いまも耐え続けている人は大勢いらっしゃる。子どもたちや若い人もいる。こちらは75歳まで生きてきたのだ。彼ら、彼女たちに比べれば……
話が散らばりそうなので、少し絞ろう。
昨日の夜は、深夜2時から独りで面談室に行き、ワールドカップの日本、ブラジル戦を観た。大活躍を期待していた、わがアビスパ福岡出身の冨安健洋が躍動していたようだが、残念ながらぼくの右目はほとんど見えない。
ゲームは白い霞の向こうで進んでいた。試合が終わりに近づくに連れて、雲行きは怪しくなって、カナリア軍団に押し込まれ、試合終了直前に決勝点を奪われた。
うーん、やられた。
まさか日本チームがあんなに単純な得点を許すとは。点滴棒と一緒に暗い廊下をのろのろと歩いて、静かに硬くて冷たいベッドへ戻った。
もうひとつ、ぜひとも、書いておきたいことがある。
同じく昨夜のこと、ここに来て、最初の方だけパラパラと目を通したまま、ずっと読んでいなかった大江健三郎の『晩年様式集(イン・レイト・スタイル』を開けてみた。
この本には彼の妹さんが兄について書いた文章も納められている。
驚いた。大江は小学生のころ、四国の故郷の森の中で、入水自殺を図っていたのだ。そして、彼流の方法で実際にやった。その異常な事態を土壇場で発見して、兄の脚を引っ張り出して、助け出したのが当の妹さんだったという。
大江はこのことに関して、いっさい触れていない。だが、ちゃんと製本して、妹さんの文章が明るみになることは認めている。東京大学へ進学した大江は故郷の森やそこでの少年(自分)の死に対して、何を深く考えていたのだろうか。
それにしても、どうして、いまごろ、この本を。
選んだ理由は、もはや直感としか言いようがない。青春時代のある一時期だけ、大江の作品を読みふけったぼくとの「不思議な因縁」を強く感じている。ちなみに彼は老衰で亡くなった。
いま20:42:23秒。こうして時計の針は一瞬も止まることなく、きちん、きちんと進んで行く。
■カミさんが撮影した梅雨空の室見川。若アユはいるかな。川は生きているかな。
だが、今月の当初の目的はまもなく果たせそうだ。
簡易日記の欄外には鉛筆で、「6月を乗り越える!!」とおおきな文字で書き込んである。明日から始まる7月は、「夏・7月を乗り越える!!」。
この地道な積み重ねと継続が余生を一日一日、延ばしている。
まわりには支えてくれる人たちがいる。ある若い男性の看護師さんは、「みんな〇〇さんを応援していますよ。なかでもぼくが一番です」とはっきり言ってくれた。75歳にもなって、彼が部屋の仕切りのベージュのカーテンを閉めた後、一分間ぐらい涙が止まらなかった。泣いてもいいとおもった。
気の滅入る話だが、同じ境遇の人、いや、もっとどん底で、いまも耐え続けている人は大勢いらっしゃる。子どもたちや若い人もいる。こちらは75歳まで生きてきたのだ。彼ら、彼女たちに比べれば……
話が散らばりそうなので、少し絞ろう。
昨日の夜は、深夜2時から独りで面談室に行き、ワールドカップの日本、ブラジル戦を観た。大活躍を期待していた、わがアビスパ福岡出身の冨安健洋が躍動していたようだが、残念ながらぼくの右目はほとんど見えない。
ゲームは白い霞の向こうで進んでいた。試合が終わりに近づくに連れて、雲行きは怪しくなって、カナリア軍団に押し込まれ、試合終了直前に決勝点を奪われた。
うーん、やられた。
まさか日本チームがあんなに単純な得点を許すとは。点滴棒と一緒に暗い廊下をのろのろと歩いて、静かに硬くて冷たいベッドへ戻った。
もうひとつ、ぜひとも、書いておきたいことがある。
同じく昨夜のこと、ここに来て、最初の方だけパラパラと目を通したまま、ずっと読んでいなかった大江健三郎の『晩年様式集(イン・レイト・スタイル』を開けてみた。
この本には彼の妹さんが兄について書いた文章も納められている。
驚いた。大江は小学生のころ、四国の故郷の森の中で、入水自殺を図っていたのだ。そして、彼流の方法で実際にやった。その異常な事態を土壇場で発見して、兄の脚を引っ張り出して、助け出したのが当の妹さんだったという。
大江はこのことに関して、いっさい触れていない。だが、ちゃんと製本して、妹さんの文章が明るみになることは認めている。東京大学へ進学した大江は故郷の森やそこでの少年(自分)の死に対して、何を深く考えていたのだろうか。
それにしても、どうして、いまごろ、この本を。
選んだ理由は、もはや直感としか言いようがない。青春時代のある一時期だけ、大江の作品を読みふけったぼくとの「不思議な因縁」を強く感じている。ちなみに彼は老衰で亡くなった。
いま20:42:23秒。こうして時計の針は一瞬も止まることなく、きちん、きちんと進んで行く。
■カミさんが撮影した梅雨空の室見川。若アユはいるかな。川は生きているかな。
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