約束のボールを遠くに投げた ― 2026年04月24日 17時40分
出かけるときは、「本当に大丈夫か。事故ったら大変だぞ」と不安だったが、ハンドルを握っているうちに、これがふつうの人たちのやっている暮らしなのだとだんだん落ち着いて来た。
11時、予定より30分も遅れて、2年前に亡くなったMoさんのご自宅に到着。3回忌を控えて、ひとりでご焼香に伺った。奥さんと約束はしていたものの、直前まで、行こうか、止めようか、迷いに迷った。しゃんと立っていられなかったのである。
不安な気持ちのまま外に出て、赤信号、青信号、タクシー、路線バス、いろんな人たちが動いている娑婆(しゃば)の空気を吸ったら、「よし、大丈夫だ」とこころのエンジンがかかった。こんなほんのわずかなことで、ぼくのなかで、今日がいい日か、そうでないかが変わる。
1年ぶりに会った奥さんはお元気だった。Moさんが健在だったころ、よく押しかけて、台所で一杯やった間柄なので、ハゲ頭と杖の老人になり果てたが、いまさら恰好をつけることもない。
「癌が再発して、こんなになってしまいました。杖がないと歩くのが危ないんですよ」
「△△さんがいちばん若くて、いちばん元気だったのにねぇ。まさかねぇ」
ちいさな仏壇の笑顔の写真に手を合わせる。なんで死んでしまったのか、いまも悔しくてたまらない。ぼくの事務所で、ふたりでさんざん飲んだけど、もっともっと一緒に飲みたかった。
どれだけ窮地を救ってもらったことか。あんなおおきな器の人物になりたかったが、とても手が届かなかった。そんなことばっかり、である。
奥さんは、いまでも朝と夕方の2回、毎日欠かさずに芋焼酎『白波』のお湯割りを仏壇に上げているという。
ここにも独り暮らしの年寄りがいる。これからの生活のこと、終活などの「内輪の話」も聞いた。歳をとるにつれて、人には言えない話が積み上がっていく。だが、言えない話ほど、その人の貴重な体験や知恵として伝える価値があるようにおもう。
きついから10分で帰ろうと思っていたが、辞去したのはおよそ1時間後。
「たぶん、そう簡単には死なないでしょうから、また来ます」
そう約束した。約束のボールを遠くに投げた。約束は守らなくてはいけない。
帰宅してすぐ、高校時代の同級生で、近くにいるSa君にメールした。
今年、彼との花見はできなかった。お茶に誘われても、からだに自信がなくて断り続けていた。
Sa君はこのブログを読んでくれている。つい昨夜のこと、横浜組から薦められた本を自分も買って、読みたいという彼からのメールを受けとったばかりだった。
無事にMoさんのところから戻って、少し自信がついた。Sa君とも近々、会う約束をした。
ぼくにとっての会う約束とは、その日まで長生きすることである。
■安売りの石焼き芋器を見つけたので、カミさんはよろこんで買った。写真のアルミ紙の下に、丸くて、平べったい小石がたくさん入っている。芋の種類は紅はるか。茨木県のブランド「紅天使」も焼いた。蒸すよりも、だんぜん美味しかった。去年からよく芋を食べている。
11時、予定より30分も遅れて、2年前に亡くなったMoさんのご自宅に到着。3回忌を控えて、ひとりでご焼香に伺った。奥さんと約束はしていたものの、直前まで、行こうか、止めようか、迷いに迷った。しゃんと立っていられなかったのである。
不安な気持ちのまま外に出て、赤信号、青信号、タクシー、路線バス、いろんな人たちが動いている娑婆(しゃば)の空気を吸ったら、「よし、大丈夫だ」とこころのエンジンがかかった。こんなほんのわずかなことで、ぼくのなかで、今日がいい日か、そうでないかが変わる。
1年ぶりに会った奥さんはお元気だった。Moさんが健在だったころ、よく押しかけて、台所で一杯やった間柄なので、ハゲ頭と杖の老人になり果てたが、いまさら恰好をつけることもない。
「癌が再発して、こんなになってしまいました。杖がないと歩くのが危ないんですよ」
「△△さんがいちばん若くて、いちばん元気だったのにねぇ。まさかねぇ」
ちいさな仏壇の笑顔の写真に手を合わせる。なんで死んでしまったのか、いまも悔しくてたまらない。ぼくの事務所で、ふたりでさんざん飲んだけど、もっともっと一緒に飲みたかった。
どれだけ窮地を救ってもらったことか。あんなおおきな器の人物になりたかったが、とても手が届かなかった。そんなことばっかり、である。
奥さんは、いまでも朝と夕方の2回、毎日欠かさずに芋焼酎『白波』のお湯割りを仏壇に上げているという。
ここにも独り暮らしの年寄りがいる。これからの生活のこと、終活などの「内輪の話」も聞いた。歳をとるにつれて、人には言えない話が積み上がっていく。だが、言えない話ほど、その人の貴重な体験や知恵として伝える価値があるようにおもう。
きついから10分で帰ろうと思っていたが、辞去したのはおよそ1時間後。
「たぶん、そう簡単には死なないでしょうから、また来ます」
そう約束した。約束のボールを遠くに投げた。約束は守らなくてはいけない。
帰宅してすぐ、高校時代の同級生で、近くにいるSa君にメールした。
今年、彼との花見はできなかった。お茶に誘われても、からだに自信がなくて断り続けていた。
Sa君はこのブログを読んでくれている。つい昨夜のこと、横浜組から薦められた本を自分も買って、読みたいという彼からのメールを受けとったばかりだった。
無事にMoさんのところから戻って、少し自信がついた。Sa君とも近々、会う約束をした。
ぼくにとっての会う約束とは、その日まで長生きすることである。
■安売りの石焼き芋器を見つけたので、カミさんはよろこんで買った。写真のアルミ紙の下に、丸くて、平べったい小石がたくさん入っている。芋の種類は紅はるか。茨木県のブランド「紅天使」も焼いた。蒸すよりも、だんぜん美味しかった。去年からよく芋を食べている。
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