雪国から山菜が届いた2026年04月25日 18時27分

「明日の朝、荷物が着くから楽しみにしていて」。そして、今日の10時過ぎ、ひと抱えある段ボール箱の小包が届いた。
 こうして荷物を送ってくれる人は、ぼくの身内や親戚にだれもいない。いたけれど、いなくなってしまった。いるのはカミさんの血筋で、それも彼女の姉ふたりだけである。みな髪の毛が白い70代になった。
 送り主は、今回も新潟の南魚沼市にいるカミさんの長女。もう7年もあの居心地のいい家に泊まって、みんなとたのしい酒を飲んでいない。
 新緑が美しい季節になると無性に新潟に行きたくなる。歩いて10分もかからないところに魚野川、その先には威容十分の巻機山、左手には八海山、右手に行けば湯沢、あの「国境の長いトンネル」が東京の風を運んで来る。
 昨夜、義姉から電話のあったときから、何が入っているか楽しみにしていた。
「きっと山菜だね」
「酒も入っているとおもうよ。高級品でなくてもいいんだけどなぁ。新潟の酒は全国的に無名でも、どれも旨いからな。1升瓶がいいなぁ。亡くなったオヤジさんみたいに、でっかいコップで、グビグビやりたいなぁ」
 箱の中身をテーブルの上に並べた。
 地酒は、カミさんの生まれ故郷・六日町の『八海山』と塩沢の『鶴齢』で、どちらも純米大吟醸。ぼくの口にはもったいないけれど、やっぱり山菜料理と一緒に飲もうかな。
 地元の人たちがこよなく愛す山菜は、筍のネマガリダケ、木の芽(アケビのつるの新芽)、ウド、タラの芽、こごみ、フキが2種類、ワラビ。それにチマキ、へぎそば、みがきニシンも入っている。(ニシンは3匹。おおきくて立派なもの。写真には入っていません)
 さて、問題はカミさんの料理の腕前である。 さっそく電話で、姉から妹へのコーチングが始まった。
「ねぇ、ニシンはどうやって煮るの? そうか、筍と一緒に煮てもいいんだ」
「お袋さんが作ってくれたニシンの煮物は旨かったなぁ。鯉こくも絶品だった。お袋の味、っていうやつだな。でも、それを受け継ぐのも姉さんで終わりかな」
 九州の人は本当の山菜の美味しさを知らないとおもう。深い雪の下から出てくる新芽はほのかな甘味があって、自然のエネルギーが詰まっている。
「山菜は山に行って、採るのがおもしろいもんな。さぁ、山菜料理をいただいて、元気になって、絶対に新潟に行かなくちゃ」
「そうよ。元気になってね」
 雪国の山菜はこの短い時期だけの貴重な美味なのに、食べるのはカミさんとぼくのふたりきり。テーブルに並んだ数々の食材を見ながら、その向こう側にあった大家族のにぎやかな食卓の光景がなつかしい。

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