どこかで花を咲かせたい2026年04月14日 15時19分

 ここしばらく「花盗り婆さん」の姿を見ていない。お陰で花壇の花たちは無事なのだが、「婆さん、元気でやっているのかなぁ」とそれはそれで気にかかる。
 一方の「草取り婆さん」はときどき見かける。相変わらず1時間も2時間も草っ原のなかに座り込んで、ていねいに草を抜いている。そのあとに野草のスミレが伸び伸びと育って、紫色の花園があらわれる。おもわず、「お前たちよかったね」と声をかけたくなる。
 ここで注目のニュースを。
 あの有名な草取り婆さんに、積極的に話しかける爺さんが現れた。
 この人、少し前に引っ越して来たばかり。別に四六時中、ふたりを見張っているわけではないが、ぽつんとひとりで日向ぼっこをしている爺さんは、「草取り婆さん」が団地の部屋から出て来ると、さっと立ち上がる。そして、にじり寄って行く。
 もともとあの婆さんは大の話好き。ふたりが急接近するのをだれが止められようか。
「おい、あのふたり、また話し込んでいるぞ。ラブロマンスが生まれるかな」
「ホントだ。あのお爺さん、(婆さんが出て来るのを)ずっと待っているもんね」
 ふたりとも独り暮らしの身。さて、この先、どうなることやら。
 この団地は生きている。一昨日の朝の8時前に、「おや?」という光景を目にした。
 3人の警察官と消防の関係者らしい4人が近くの棟の階段を登っていた。
「変死体が出たのかな。孤独死かもしれんな」
「えーっ、また。このあいだもあったでしょ」
「うーん。団塊の世代がみな後期高齢者だからなぁ。これからどんどん(こういうことが)増えるだろうな。一生懸命に働いて、生きて来て、最期は独りぽっちで死んでいくなんて、なんかせつないよな。こんな国、どこかおかしくないか」
 あるヘルパーさんの話によると、この団地の住人で、彼女が世話をしている90代の独身女性の冷蔵庫の中はわびしいものだった。10年も前の魚の缶詰1個とタマネギが半分しか入っていなかったという。この材料で、食事を作ってあげるのが、この66歳になるヘルパーさんの仕事である。
 こんなことを書いてどうなるわけではないが、やはり、この国はおかしくなっているとおもう。
 人はだれでも、「どこかで花を咲かせたい」とおもって生きている。「花盗り婆さん」もそうだろう。これからは花を盗る現場を目撃しても、知らん顔をして見逃してやろう。
 さて、横浜在住の73歳の後輩Ka君は、いま飛騨高山にいる。昨夜11時ごろに出発した長距離深夜バスに乗って、今日と明日の2日間開催中の高山祭りの見物に出かけた。片道6時間を往復するという。乗客の半分は外国人で、隣の椅子は「黒人のお姉さん」だったとか。
 すい臓がんなのに、そんなハードなことをして大丈夫なのかと心配だが、本人はケロリとしている。今朝早くからグループLINEで現地の写真とレポートが続々と着信。
 その勢いはこっちまで飛んで来た。「杖と一緒にもっともっといろんな所に冒険して、世界を広げてください」と尻をたたかれた。
 やさしい男だなぁ。高級な杖も買って送ってくれたし、お互いに簡単な病気ではないのに、こうしてお手本になってくれている。
 これも「愛のムチ」なのだろう。日々、じっとしているぼくは、「はい。わかりました。がんばります」としか、答えようがない。

■本日の午前中に、Ka君がグループLINEで送ってくれた高山祭りの写真。天気も最高で、外国人観光客がとても多いという。
 ぼくが高山に行ったのは学生時代。Gパンと下駄履きのひとり旅だった。子どもたちが小学生のころ、家族4人でタウンエースに乗って、新潟のカミさんの実家に帰る途中、飛騨高山の近くのキャンプ場で、シラカバ林のなかに2泊したこともあった。

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