エッセイを応募した2026年01月17日 15時32分

 エッセイを書いた。「400字詰めの原稿用紙で、2枚から5枚」の条件を守った。久しぶりに公募に出そうとおもって書いた。
 応募資格は中学生以上で、社会人は60代から70代が多い。高齢者が圧倒的なのは近年の特徴で、元気なうちに自分が生きてきた証を何かの形で残しておきたいのだろう。気持ちはぼくと同じだなぁ。
 昨年は1,512人(中高生を除く一般は865人)の応募があったという。別に予防線を張るわけではないが、たぶん落選する。ほとんどのご同輩の人たちはそれも計算のうちに入れて楽しんでいるのだろう。
 賞金は現金ではなく、すべて図書カードである。最優秀賞は5万円、優秀賞が3万円(いずれも1人)、佳作は1万円(5人)、そして、若干名の5千円。
 あんな文章が上位10人のなかに選ばれるかどうか。ふと大学受験の結果発表のボードの前で、いくら探しても自分の受験者番号がなかったシーンが浮かんだ。
 賞金は、文学賞にしては少額でも、その賞の名前はひときわ光っている。
「有吉佐和子文学賞」。
 恐れおおい、立派なブランドではないか。学生時代に『花岡青洲の妻』を読んだことがある。いまならベストセラーに返り咲いた『青い壺』か。
 エッセイを読んでもらったカミさんの感想はこうだった。
「お父さん、5千円でもいいよ」
(なにそれ。オレは感想を訊いたんだけど……)
「うーん、自信ないなぁ。オレと同世代で、ものすごい経験をした人たちが自分の体験談を、こころを込めて書くからなぁ。迫力が違うんだよ。それに5千円は現金じゃなくて、図書カードだぞ」
「なんだ、図書カードか」
(有吉佐和子文学賞なんだけど……)
 もう一度、どこも間違いはないかを確認して、原稿のデータをメールで和歌山市役所の担当宛てに送った。
 やれやれ終わった。手がはなれたとたん、何を書いたか、どうでもよくなった。
 だが、もしも5千円をゲットできたら、友だちに大威張りしてやろう。
「いいか、よく聞けよ。遅まきながら、オレは文学賞の賞金破りだ!」

 ぼくとってのエッセイはこのブログみたいなもの。ネットで調べてみたら、公募はほかにもいろいろある。原稿用紙に数枚ぐらいなら、いくらでも書けるし、あまり欲を出さずに、もっとやってみようかな。
 本当は早く短編に挑戦したいのだが、ちょっとむずかしい。今年から始まった新しい抗がん剤の副作用は以前とは違うタイプで、やっぱりそう簡単なものではない。
 だが、それも「効いているからだ」とおもえば、逆の力が湧いてくる。
 夜、ふとんに入るときには、「ああ、今日も生き伸びた。明日はどんな楽しみがあるかなぁ」と目をつぶり、朝、目が覚めたときには、「よかった、今日も生きている」と鏡の顔に話しかける。
 一日一日を大切にしながら、このペースを重ねて行こう。

■団地のなかで見つけたカササギの巣。いまは空き家になっている。繁っていたケヤキの葉っぱがぜんぶ落ちて、ここにあることがわかった。