まさか同じ病気とは。共同戦線で闘う2026年01月10日 16時14分

 これもめぐり合わせなのかなぁ。このブログ、載せようかどうか、3日間迷った。
 新しい抗がん剤をからだに入れることになって、さぁ、やるかと気持ちを切り替えたところに、ふいに予想もしない知らせが飛び込んできた。
 横浜に大学の後輩君がふたりいて、彼らはいまでも行き来するほど仲がいい。ことしこそ、ふたりで九州へ行きます、会いたいですね、と言ってくれる長年の友である。
 そのうちのひとり、Ka君がぼくと同じすい臓がんになったという。
 相棒のA君が電話で教えてくれた。ぼくが新たな闘いのために入院する前日のことだった。
 胸のど真ん中に、グサッ! と来た。いくらなんでも、まさか、そんなことが。
 A君も話すのが辛かったとおもう。彼の娘さんも乳がんと闘っているのだ。A君が奇しくもKa君と同じ病気持ちのぼくをつかまえて、何を言いたいのか、よくわかる。
 それにしても、癌を抱えている人のなんと多いことか。ここまで来たら、珍しくもない、ごく普通の病気なのだと決めても不思議ではない。
 先日、当のKa君から遅い年賀状が届いた。真っ赤なふわふわの服、白い髪、白くて長い髭。サンタのオジサンに扮した彼が笑っている。ふたりの息子さん、娘さん、幼い孫たちなど総勢9人家族の笑顔いっぱいの写真が目に入る。それよりも気になる手書きの短い文章を追った。
「△△さんの仲間入りをして、昨年秋から……すい臓がんの抗がん剤治療を……」。
 やっぱりそうだった。
 彼らが学生時代に所属していたクラブは、「西高3人組」のHa君が部長だった。さっそく小倉にいるHa君に連絡をとった。彼もKa君からの年賀状を読んだばかりという。
 Ka君はいかにも北海道生まれの鷹揚とした性格の持ち主で、深刻な事態に遭っても、楽観的に気持ちを切り替えるのが上手な男である。そのことは今年の年賀状を見るだけでも伝わって来る。彼の持ち味はあのころとちっとも変っていない。
 なんの因果だろうか、すい臓がんについても、ぼくの方が先輩格である。こちらは治療開始から丸3年あまりのキャリアがある。同じ病気の経験者だから、いくらかでも役に立てるかな。
 こうしてKa君とのあいだでメールのやりとりが始まった。最初に、「手遅れになる前に見つかってよかった」と書いた。
 さいわい副作用も少なく、体調は良好という。病院も専門の県立がんセンターと知って、少し安心した。気持ちの上でも、日々の生活でも、大事な点はちゃんと押さえていた。とりあえず、ぼくが伝えたいことはすでにやっていた。これから先、逆に教えてもらうこともいろいろ出て来るとおもう。
「何がなんでもKaを連れて、九州へ行きますから」
 一報をくれたA君は何度もそう言っていた。彼もまたぼくらと同じくプラス志向の仲間である。
 ということは、今度はこちら側の態勢が問題になるということだ。彼らと再会して、たのしく一杯やる日までに、何がなんでも元気になっておかなければ。
 70歳を過ぎても、支えたり、支えられたり。劣等生の先輩と優秀な後輩たちの関係はそれぞれの歳月を経て、どうやら共に闘う戦友にランクアップしたようである。

■後輩君たちが学生時代の思い出として、よく話に出て来る軽食・喫茶のちいさな店『ヤコブ』。ぼくは「雇われマスター」をしていて、夜はときどき色気なしのスナックに化けた。
 記憶にないけれど、Ka君には「オレは明日、忙しいから、この店、ぜんぶお前に任せる。好きなようにやっていいぞ」と無責任なことを言い、A君には千円札を1枚やって、「ホワイトでも、レッドでも好きなものを買って来いよ。ここで飲んでいいぞ」と言ったらしい。
 そのころのぼくは可愛がってくれていた出版社の大先輩に甘えて、銀座や新宿ゴールデン街などで「社会勉強」をしていた。真面目な後輩君たちとのギャップがおもしろかった。

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